内容説明
同期会が催された山荘で三日三晩に三人のメンバーが絞殺された。俳優の桜木も会に参加していたが、なぜか、その間の記憶が抜け落ちていた。ただ、ひとつロープで他人の首を絞めた生々しい感触を除いては…。そしてその追い打ちをかけるように何者かからワープロ原稿が送られてきた。そこには空白の三日間が小説として再現され、桜木を真犯人として断罪していたが…。トリック&ロジックの本格派が新たに叩きつける「読者への挑戦状」。長編ミステリ。
著者等紹介
依井貴裕[ヨリイタカヒロ]
1964年、大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業。1990年『記念樹』で鮮烈デビュー。奇術と論理の本格派としてミステリファンを魅了する
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いちろく
41
紹介していただいた本。記憶は無いけれど過去の殺人に通じる様なリアルな感覚は刻み込まれている主要登場人物である桜木。失われた記憶に繋がる文章が手元に送られてくる事で物語が動く展開。ありか?なしか?と聞かれたら、あり。作中作を読み解く事で視えてくる衝撃のラストには気が付かなかったけれど、素直に受け入れられた。ただ、これだけは書かせてほしい。如何にも、気がつく?解る?という展開は犯人当ての為に描かれた内容。ミステリに物語を求める人には合わない。ただ、驚かされる内容が好みな私は、すきな作品。2018/11/25
おうつき
34
著者の作品は初。山荘で連続殺人事件に巻き込まれた俳優・桜木。その時の記憶が抜け落ちているが、唯一自分が誰かの首をロープで締めた感覚だけが残っていた。さらには、匿名で桜木を真犯人だと指摘する小説が郵送されてきた。「読者への挑戦」が挟まれた時点で、誰が犯人なのか、どう話が収束するのか全く分からなかったが、綺麗なロジックと大胆なトリックを堪能できた。久しぶりに騙される快感を味わうことができた。2020/04/20
安田
31
再読。同期会が催された山荘で連続殺人事件が発生した。何故か事件が起こった3日間の記憶を無くしていた桜木は、自分が犯人なのではないかという恐れから、誰にも事件のことを問いただす事ができずにいた。そんな矢先、彼のもとに何者かから、山荘での3日間の出来事を記した「小説」が送られてくる…。あの泡坂妻夫の弟子(奇術の方らしいが)にふさわしい、大仕掛けが繰り出される傑作。「禁じ手」の確信犯的な使用も、このプロットならでは。「作中作」の理由づけとしても機能しているし、細部に至るまで緻密に計算された構成に舌を巻く。2017/11/21
Tetchy
25
確かに一見普通の手記のように読み取れるが、なんだか解らない違和感をある。しかしそれがなんだか解らないまま、190ページ弱読み終わり、読者への挑戦状が挿入される。どうにも解らないまま解決編に行くと思いもよらないトリックに驚かされる。しかし残念なことに本書の根幹を成すロジックには21世紀の今ではかなり苦しいものがある。また真犯人の正体も実に意外だが、当時のミステリ文壇の流行を取り入れた内容になっている。ただ探偵役の多根井理のキャラクターが平凡で単純なロジックマシーンになっているのが惜しい。2010/06/02
kenpah
14
久しぶりに読んだ本格推理小説。時系列の関係など少し難しい所はありますが、山荘で起こった連続殺人事件を独特な雰囲気で見事に盛り上げてくれます。ラストは…そう来ましたか、驚きました。これは予想出来ません…300頁弱なのに気持ち良く騙されて読ませてくれました。2018/01/08
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