内容説明
十五年前、大物歌舞伎役者の跡取り息子として将来を期待されていた少年・音也が幼くして死亡した。それ以降、音也の妹・笙子は、自らの手で兄を絞め殺す悪夢を見るようになる。自分が兄を殺したのではないだろうか?誰にも言えない疑惑を抱えて成長した笙子の前に、音也の親友だったという若手歌舞伎役者・中村銀京が現れた。二人は音也の死の真相を探ろうと決意するが―。封印された過去の記憶をめぐる、痛切な恋愛ミステリー。
著者等紹介
近藤史恵[コンドウフミエ]
1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。93年、『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。以来、こまやかな心理描写を軸にした質の高いミステリー作品を発表し続ける。2007年に刊行した青春ミステリー『サクリファイス』で大ブレイク。08年、同作品で第10回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
🐾Yoko Omoto🐾
155
歌舞伎界、梨園という特殊な芸の世界で起きた過去と現在の二つの不審死の謎を、探偵今泉が紐解くシリーズ三作目。15年前に病死した、女形として将来を嘱望されていた兄の死に対し、曖昧な記憶の中で疑問を抱き続け苦しんできた笙子。同じくその死に腑に落ちぬものを感じてきた大部屋役者の銀京。何故か周囲に阻まれる二人の逢瀬、そして子役の突然死。歌舞伎の演目を見事に絡めた、梨園という世界ならではのwhyの意外性は非常に秀逸。孤独や苦しみ、哀しみの果てに愛の存在を知る切なさは、デビュー作にも通じるものがあり、とても良かった。2017/04/03
ダイ@2019.11.2~一時休止
107
探偵今泉その4。本作でも歌舞伎ならではの動機?がでてきますなぁ。2017/10/14
りゅう☆
104
幼き兄音也を殺した夢を見る笙子。兄の死に疑問を持つようになった時、深見屋の役者中村銀京と出会う。彼も音也の死の真相を探していた。そしてだんだん銀京に惹かれていく笙子。一方、小菊の師匠菊花が政岡を演じる「伽羅先代萩」で息子千松役の景太郎が物言わぬ冷たい体となって発見された。警察は病死と判断するものの漠然とした疑惑が残る。謎の残る音也と景太郎の死。依頼を受けた今泉が動き出す。全く想像だにできなかった音也と笙子の過去に驚き。そして景太郎の死に隠された悲しき思い。なんだかな…陽平兄さんこと月之助の笙子への責任が→2019/02/14
パフちゃん@かのん変更
70
歌舞伎シリーズの3作目だったらしい。知らずに読んでしまったが面白かった。『ねむりねずみ』『散りしかたみに』とこの後の『二人道成寺』も読んでみたい。『桜姫』には2つの謎があって「笙子の兄音也の死について」と「子役景太郎の死について』音也の死については大変意外な結末に驚いたが面白かった。作者は大学時代歌舞伎を研究していたらしい。2016/01/03
青葉麒麟
50
自分自身って凄く大事なんだなと思った。あんな事が有れば、記憶も無くすわ(>_<)2011/10/16
-
- 和書
- はけたよはけたよ