感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syota
34
2000首の中から80首を選び、噛んで含めるように解説している。おかげで本歌取りや本説取り、序詞、平安期より一層複雑になった枕詞など、唖然とするほど高度で精緻な技巧を垣間見ることができた。しかしこれは手取り足取り教えてもらったからこそ理解できたことで、自力で鑑賞するには先行する和歌、漢詩、故事、物語などの広く深い知識が不可欠。到底私のような素人の手に負えるものではないという諦めが先に立ってしまう。ただその中で西行は技巧に走らず、実体験をストレートに詠んだ分かりやすい作品が多い。人気の理由が分かる気がする。2017/10/16
しゅてふぁん
32
約二千首のうちから厳選された八十首が紹介されている。言葉選びや情景など全てにおいて技巧を凝らした和歌よりも、恋人や家族に宛てた心の内をそのまま詠んだ和歌の方が心に響くに違いないと思っていたけれど、とんでもない!新古今調の完成された和歌はどれも素敵だった。定家の本歌取りの和歌をもっと読んでみたい。2017/10/18
双海(ふたみ)
23
どうすれば歌の心がわかるのか。本書は新古今のうち80首を精選し、懇切丁寧な解説を付したものです。ありがたい。しかし活字本ばかり読んでいても仕方がないなぁ。写本を見たい。2015/05/28
そり
21
“窓近き竹の葉すさぶ風の音にいとど短きうたたねの夢” これはいいなあと思った夏歌。“花は散りその色となくながむればむなしき空に春雨ぞ降る” こちらはもっといいなあと思った、けれど季節違いの春歌。どちらも式子内親王が詠まれた歌。冷たいのか、激しいのか、憂いているのか、はたまた何もないのか。照らされれば、鈍く微妙な輝きみせる心の動きを、味わい深い情景が橋わたし、軽やかな音とともに、ふわあっと伝わってくる。才と心をかける彼女の歌には、力があるように思った。2015/08/14
ロビン
16
後鳥羽院の命によって藤原定家らを選者として編まれた勅撰和歌集で、所謂「八代集」の掉尾を飾る「新古今和歌集」2000首から80首を選んで解説をほどこした入門書。「古今和歌集」などの古典についての知識教養を前提とした<本歌取り>や、「源氏物語」や「伊勢物語」などの物語の中に入り込み想像力を駆使して作歌する<物語取り>などの当時最先端の歌の詠み方で精緻な和歌の世界が構築されている。和歌の天才・藤原定家の有名な「見渡せば花も紅葉もなかりけり・・」に代表される「三夕の歌」も収録され、洗練された夢幻の世界に浸れる。2021/04/15