内容説明
四季の移ろいに心をふるわせ、恋におののく。現代人と変わらない痛切な想いを、千百年以上の昔の平安時代の男女は和歌という五・七・五・七・七の三十一文字に込めて歌い上げた。本書では、古今和歌集二十巻、約千百首の中から精選した歌を七十首余取り上げて丁寧に解説。「倭歌は、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける」と冒頭の仮名序に記す古今和歌集の魅力を存分に味わえる一冊。総ルビ付きで朗読にも最適。
目次
巻第一―春歌上
巻第二―春歌下
巻第三―夏歌
巻第四―秋歌上
巻第五―秋歌下
巻第六―冬歌
巻第七―賀歌
巻第八―離別歌
巻第九―羇旅歌
巻第十―物名〔ほか〕
著者等紹介
中島輝賢[ナカジマテルマサ]
1966年、東京都生まれ。大東文化大学・麻布中学校高等学校非常勤講師。早稲田大学大学院文学研究科日本文学専攻博士後期課程単位取得退学。専門は平安前期の和歌と歌物語(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
歌会本棚
感想・レビュー
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Mijas
53
巻頭のカラー写真「吉野龍田図」が素敵!和歌の世界のイメージそのもの。美しい光景を一枚の絵のように思い描けるのが和歌の醍醐味だと思う。本書は70首とそれに関する歌が掲載されている。古今和歌集には同じテーマで似たような歌が幾つもあるので、歌を比較できるこの構成は嬉しい。コラムや挿絵も楽しめる。世の中はどうであれ「私はこう生きている」というような、自らの心の有り様が強く詠まれているのを古今和歌集の歌から感じる。仮名序にも「人の心を種として…」とある。心にあるのは花なのか、月なのか…歌を通して見えるのは自分の心。2017/05/23
buuupuuu
28
古今集には千以上の歌が収められている。代表的なものを選び一首ずつ解説してくれるのは、素養のない自分にはありがたい。古今集の歌風は耽美的であり、また理知的なのだという。貴族的、遊戯的な印象が強いということだろうか。ともあれ、様々な技巧によって鮮やかなイメージを作り出していることは自分にも感じられた。僧正遍昭が常康親王との別れを惜しんで詠んだ「山風に桜吹きまき乱れなむ花のまぎれにたちとまるべく」という離別歌が好きだ。今の季節なら「夏と秋と行きかふ空の通ひ路はかたへ涼しき風や吹くらむ」という歌がぴったりだ。2024/09/15
ひと
28
五島美術館で開催されている「古今和歌集を愛でる」展にあわせて手に取った。このシリーズ、本当に良い。これまで古典には全然興味がなく、スルーしていたが、読みやすい分量と簡易な解説で和歌の概要がわかった気になれた。四季、恋愛、別れ、旅、賀など、日本人が心を動かされる場面で詠まれた歌に接し、日本人の血が流れていることを改めて認識。色恋好き過ぎな気はするが…。きれいだなと思ったのは、紀貫之の「櫻花散りぬる風のなごりには水なき空に波ぞ立ちける」2023/04/16
森の三時
27
あまたある和歌の中から当時最高と言われる選者が1100首あまりを選別した「古今和歌集」。この本では更にビギナーズ用として親しみやすい70首を編者が紹介しています。和歌にはフリガナもふられ、解説もあるので初心者にも分かりやすい。恋の歌、季節の歌、当時の暮らしや習慣を知ると理解が深まります。素晴らしい「仮名序」の存在を知ったことも収穫でした。その時いいなぁと思った和歌に出会ってもいつも通り過ぎてしまい忘れてしまう。これからはメモして、自分が好きな和歌の選集を作ってみたいと思いました。2017/11/18
しゅてふぁん
27
全20巻、約1100首の中の70首が紹介されている。有名な歌人の和歌が紹介されているのか、大半が他の文献などで見かける人物だった。ひたすらに和歌だけを読み続けていると、途中から頭に入ってこなくなるので少しづつ読んでいった。このシリーズの凄い(やっかいな)トコロは、少しでも読んでしまうと全文を読みたくなること!あぁぁぁ、また積読本が増えていく…。2017/05/07