内容説明
インド、中国、日本では北海道から沖縄まで、広大な舞台に繰り広げられる、平安朝の生んだ日本最大の説話大百科。登場人物も僧・武士・庶民などさまざまな階層に及び、ヴァラエティに富む説話を収録。現代語訳と、古文の生き生きとしたリズムによって、豊饒な話の宝庫をヴィジュアルに楽しめる。
目次
インド(天竺)・中国(震旦)部(志をたて、王妃マヤ夫人の腹に宿るシャカボサツ;悟りを開いて、ブツダとなったシッダールタ太子;死に臨んで、息子ラゴラに父の情愛を示すシャカ;この世の親子の情愛も通用しないあの世の現実 ほか)
日本(本朝)部(法力を競い合い、ライバルを祈り殺した弘法大師;美女の色じかけのおかげで、学者となった青年僧;洪水に流され、愛児を捨てて老いた母を助けた男;清少納言の夫、剛力一閃、強盗一味を斬り捨てる ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chantal(シャンタール)
87
クリスマスで盛り上がるこの日に、天邪鬼な私は「仏教説話集」とも言われるこちらを。数話だがインド、中国の説話は仏教系だったけれど、日本のものは全てが仏教説話と言う訳ではなく、色んなお話があって面白かった。芥川龍之介や谷崎も、この中のお話を題材にして小説書いたりしてたのね。作者や編者は謎なこの説話集、時代は平安時代だか、汚職する役人、ハニートラップ、棄老、嫁姑問題と、現代にも通じる様々な話題が幅広く語られており、人の営みは千年経ってもあまり変わらないのかなと。喧嘩して相手を呪うお大師様とか、思わず苦笑😅2020/12/24
月讀命
74
古典は素晴らしいが高校時代に古文の勉強をしなかった私にはハードルが高い。しかし、角川ビギナーズクラシックは、現代文と古文とで解説してあるので 溶け込みやすい。音楽でも、いま、キャンユーセレブレートやオートマチックを町で聞くことはない。とっくに、色褪せていまっている。 しかし、モーツアルトの音楽は250年経過しても朽ち果てていない。本当に素晴らしいものは、時間を超越して存在し、それが古典である。本編は印度、中国、日本を舞台に、僧、貴族、武家、庶民の様々な階層の寓話や説話を収録し、煌びやかに散りばめてある。・2012/07/30
れみ
41
平安時代末期に成立した説話集「今昔物語集」を易しく楽しめるビギナーズ版。最近読んでる夢枕獏さんの「陰陽師」シリーズに出てくるエピソードがいっぱいあって楽しかったし、他にも、文豪と呼ばれる人々がこの説話集に影響を受けて書いた作品が色々紹介されていたのが興味深かった。2015/06/20
ともとも
38
インド、中国、日本、歴史的な有名人から、1庶民のお話まで 広くにわたって、その当時に生きた人の悲喜交々の感情、そして人生が 生き生きと描かれていて、後世、読む人の人生の指標の様な・・・ リアルすぎるという面と、親近感を湧くという面があって、 興味をそそられながらも、恐ろしさを感じながらも、一方で面白みもあって 良かったと思いました。 物語の世界の人々の生きた証を感じながらも、初心者向けということもあって、 訳も解説も解り易く、『今昔物語集』の魅力、世界感へ読み手を誘っていく。 そんな1冊で良かったです。 2015/08/08
しゅてふぁん
37
読んだことのある話がちらほらと。清少納言の夫、安倍晴明、紫式部の父などの逸話は今昔物語からきてるのか。貴人の話だけではなく庶民の話も多く、当時の生活や風俗などを垣間見ることができて楽しい。現代とは習慣や考え方が違うので、結末が読めないところも面白かった。天竺(インド)部や震旦(中国)部はそれほど惹かれなかったけれど、本朝(日本)部は他の話も読んでみたい。それにしても、編集の年次も編者(作者)も目的もわからない物語集とは、何とも心惹かれるなぁ。2017/02/16
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- 遮断地区 創元推理文庫