内容説明
通称タックこと匡千暁、ボアン先輩こと辺見祐輔、タカチこと高瀬千帆―。キャンパス三人組が初めて顔を突き合わせた一年前のクリスマスイヴ。彼らはその日、女性の転落死を目の当たりにしてしまう。遺書、そして動機も見当たらずに自殺と結論づけられたこの事件の一年後、とあるきっかけから転落死した女性の身元をたどることになった彼らが知ったのは、五年前にも同じビルから不可解な転落死があったということ。二つの事件には関連はあるのか?そして今また、新たな事件が…。二転三転する酩酊推理、本格ミステリシリーズの逸品。
著者等紹介
西沢保彦[ニシザワヤスヒコ]
1960年高知県生まれ。米国エカード大学創作法専修卒業。高知大学助手、高校教諭を経て執筆活動に入り、95年『解体諸因』で作家としてデビュー
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
フリスビー
20
匠千暁シリーズ3作目。ミステリやトリックは控えめで、「動機」に重点が置かれています。イブの夜に起きた飛び降り事件を追っていくうちに、独善的な歪んだ親子関係が浮かび上がってきて、タカチとタックのコンビがそこに切り込んでいきます。救われない真相でしたが、3人組の出会いが語られたり、タカチがいろんな表情を見せてくれたりと、シリーズのファンなりに楽しませてもらいました。しかし古本で床が抜けるのは、ありそうで怖いですね。2013/07/06
雪守
15
匠千暁シリーズ第三弾。ボアン先輩が一年前の事件で拾ったプレゼントを受け取る筈だった人が誰だったか、タックとタカチが探す話。事件の謎の構成の仕方やタカチが主体となって謎を紐解く様子も興味深かったです。しかしそれよりも真相が明らかになるにつれて、親と子の有り様について深く考えさせられたことが印象に残りました。でもこの暗い展開の中でボアン先輩の明るさやタックとタカチの姿が救いを残してくれています。次の作品にも期待です。2011/04/17
ソラ
14
通称タックこと匡千暁、ボアン先輩こと辺見祐輔、タカチこと高瀬千帆―。キャンパス三人組が初めて顔を突き合わせた一年前のクリスマスイヴ。彼らはその日、女性の転落死を目の当たりにしてしまう。遺書、そして動機も見当たらずに自殺と結論づけられたこの事件の一年後、とあるきっかけから転落死した女性の身元をたどることになった彼らが知ったのは、五年前にも同じビルから不可解な転落死があったということ。二つの事件には関連はあるのか?そして今また、新たな事件が…。2010/07/16
よしりん
13
シリーズ4作目…今まで読んだ中で1番面白かったかも!でもテーマが重かった。すべての事件の真相が明らかになってもスッキリとはいかないくらい…。読みごたえのある1冊だった。2018/02/03
sipey
13
プレゼントの謎を追求しながらも、決して勝手に開けることなく推理していく展開にはワクワクしました。本作を読んで西澤さんの心理描写の細かさ、そしてそれをもとにしたホワイダニットの巧みさを感じました。タカチやボアン先輩のような一見「最強」のキャラクターが弱さを見せる場面は、一気に彼らとの距離が縮まった感じがして愛着が湧きますね。内容には関係ないですが、作家アリスの後に読んだので「此村英生(このむらひでお)」を途中まで「ひむらひでお」と読んでました(笑)2014/09/28