内容説明
デパートで万引きを繰り返し、学校では毎日乱暴ばかりで、「手に負えないワル」という烙印を押されているセイゾウたち六年生八人組。彼らの行動の裏に隠された本当の理由とは?愛すべきワルたちの誇り高き日常を描き、爽やかな感動をよぶ名作『ワルのぽけっと』をはじめ、学校や家庭での子どもたちの姿をみずみずしく写し取った全5編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
53
全5編。灰谷さんの描く子どもたちは生命感にあふれている。子どもたちと先生との血の通ったやりとりは、灰谷さんにしか描けないもの。生き生きとしたこどもたちの描写、セリフの一言一言が純粋過ぎて抱きしめたくなる。灰谷さんの子どもに対する視線はどこまでも優しい。2018/10/30
さきん
20
ある一クラスに変わった子達8人が集まり、集団万引きしては捕まる話。万引きや器物損壊に至る子供も言い分がそれなりに筋が通っていて面白かった。プゥ一等あげますに出てくるジンベエ先生のような人になりたいと思えた。あだ名も印象に残りやすく、いかにも小学生が考えそうな名前で大人でも一読の価値あり。2017/11/06
umico
7
やってることはむちゃくちゃやけど、こんなふうに生きていきたいと思う。あの子やあの子の顔が浮かぶ。にんげんって子どもってやっぱり面白いなぁ。私は30年後にあの子たちとすごした時間を、こんなふうに振り返ることができるだろうか。そしてこれからは、また新しい出会い方で、子どもに関わることをしたいと決意。2021/09/04
テツ
3
視線、語り方、その全てを肯定することを前提としたつきあい。灰谷さんはこどもが好きで好きでたまらないんだなあと。だからこそ美化しつつ理想化して捉えられたその姿は本当に美しい。実際自分の幼少時を思い出したなら、この作品に出てくるような(色々な意味での)良い子からは遠く離れた、もっとクレバーで底意地の悪く卑怯なこどもしか浮かんでこないので、作品との乖離に多少落ち込んだ笑 実際にこんな先生がいたらまた僕自身も多少は違った成長をしたのだろうかと、そういうこともふと思う。こどものまっすぐさは強く眩しく尊い。2012/07/15
きゅうり
3
登場するこどもたちが真っすぐすぎて泣ける。でも何度か度大人に裏切られたってそこで「大人はわかってくれない」なんでいうのは潔癖すぎるよ。確かに酷い大人はいるけどいい大人もいる。こどもは社会的弱者なんだからわかってくれる大人が見つかるまで訴え続けなきゃいけない。そんな強さも持たなきゃいけない。そう思ったのは大人になってしばらく経った後でした。灰谷作品は理想です。大人が心をやさしくする為の、こどもの可能性を信じてあげるための読み物だと思います。2012/04/16