角川文庫<br> 漂泊者(ながれもの)

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角川文庫
漂泊者(ながれもの)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 349p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784043499014
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

殺人罪の時効は十五年。もうまもなく時効が成立する男が、いまお前たちの目の前にいる。俺だよ―私立探偵の室井。横浜の養護施設新設を計画したら、周辺の住民から反対運動が起こった。しかも牧師や信者にまで嫌がらせが始まったという。調査を依頼された室井はその背景を洗い出していくが…。池袋のさびれた裏通りにある古アパートの住人たちの人生を中心に据えた“風間ワールド”シリーズ。不器用だけれど、どこかいとおしい男たちを描いた傑作長編ハードボイルド。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

chiru

90
なんて面白いんだろう!! こんなに魅了されたハードボイルドは初めて。 教会の養護施設建設計画の反対運動の裏で手を引く相手を調査中に盲目の少女誘拐事件が起こる。 探偵室井と国立大出のヤクザの組長国分のかけあいが絶妙。 12年前にサハラで室井が助けた学生時代の国分の過去や、二人が誘拐犯から奪還した子供の寝顔を眺めながら語りあうシーンから大きな人間味が伝わり、隅々まで深く切なく熱い余韻が広がる。アウトサイダーの二人が『また逢おう。きっと、いつか、どこかで』と約束もせず手を振るラストが最高に粋でした。 ★5⤴️2018/06/23

GAKU

74
25年程前の作品。以前から名前は知っている作家さんで、読んでみようと思いながら今まで未読でした。最近懇意にさせていただいている読友さんが、立て続けにこの作家さんのレビューを挙げていて、興味を惹かれ読んでみました。過去のある私立探偵室井を主人公に、ヤクザの組長、BARのママ等々、舞台は横浜。ある調査依頼から、ヤクザも絡む大々的な地上げのトラブルの渦中へ。人物設定、セリフ、ストーリー展開、典型的なコテコテ和製ハードボイルド小説。好きな人にはたまらない1冊。という事で他の作品も追って行きたいと思います。 2017/08/15

はつばあば

63
読み友さんに教わった風間一輝さん。やっぱり時代が合うのでしょうか、北方さんと同じく一輝?一気読み。その昔サハラ砂漠で出会った二人の男。12年後に出会った二人は私立探偵と組長。場末の飲み屋に女とヤクザ。そして無くてはならない地上げ屋。「お~っ!ハードボイルドだぁ」なんて。プロローグはサハラ砂漠でエピローグがペナン島。小さな日本から抜け出し世界に出て行こうとする・・昭和の男の香りが文章の合間から匂う。この方の本「男たちは北へ」は積んであるが、もっと読んでみたい。北方さん贔屓の方にも間違いなくお勧めできます。2017/08/02

ntahima

33
最近「昭和の香り」という表現をよく目にする。80年代後半を海外で送った私にとって昭和はまだそこにある過去。「大正ロマン」や「明治は遠くなりにけり」じゃあるまいし、頭では理解しても皮膚感覚はない。舞台は86年、バブル幕開けの年。今や絶滅危惧種とも言える国産純ハードボイルドである。冒頭にサハラの神話が挿入される。いや、正確に言えばひとつの神話が形作られて行く過程が語られている。所謂「昭和の香り」芬芬たる物語ではあるが、内藤陳『読まずに死ねるか!』世代としては、内省的でありながら時には饒舌過ぎる語りが堪らない。2012/08/18

かつやん

32
古くさいハードボイルドだ!けど、カッコイイんだなー。 お決まりなパターンだが、ハラハラする。子供を奪還するシーンは手に力が入ってしまった。その後の子供の寝顔を見に行く過程から、男2人で語る所がとても物語の中で際立つ…何故と考えると、ここだけ男2人が普通の人に戻ったからだろう…何の変哲もないのだけど印象的でよかった。 コテコテなハードボイルドですが、カタギなんだけどアウトサイダーが好きで、任侠ヤクザものが好きなら、是非ともおススメです! しかし現代の裏事情にも通じていて怖さを知ったかな。2018/07/27

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