内容説明
自意識を持て余す東大生、自分の容貌を嫌悪するOL、働くことが嫌いなフリーター、5年間引きこもり中の男…。「どうせ死んでしまうのだから、何をしても虚しい」彼らの心の叫びは“正しい”。しかしその真実は、善良で鈍感な日本社会からは抹殺される。苦悩する彼らと著者が対話を重ね、人生の虚しさを直視し、生きることの意味を探究する哲学対話エッセイ。生きづらさを抱える人に捧げる一冊。
目次
生きていたくない
世間に従いたくない
働きたくない
ひとから評価されたい
ひとから愛されたい
死にたくない
著者等紹介
中島義道[ナカジマヨシミチ]
1946年、福岡県生まれ。東大教養学部並びに法学部を卒業。77年、東大人文科学大学院修士課程修了。83年、ウィーン大学哲学科修了。哲学博士。電気通信大学教授。専攻は時間論、自我論、コミュニケーション論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Lee Dragon
16
当たり前のことを当たり前のことだと信じるのではなく、疑い、問い続けることが哲学なのである。 自分は死ぬことに関しては仕方ないものだと思っている。でも、死んだらもう生きられないことが寂しい気がする。だから生きようと思う。そして、使命なんて分からないから与えられたことをこなす日々を送っている2015/06/22
ナマアタタカイカタタタキキ
15
私の中で未解決のまま端に追いやられていた問いが此処に。近頃は死の実感から遠ざかっていただけかもしれないが、時を経て私はある程度順応した(要は鈍感になった)ことを感じる。それは端から見れば幸福に違いないが、鋭敏な痛覚(気概かもしれない)を取り戻したいという自分がいる。『世間に従うのを全身で拒否しておきながら、世間的価値観にがんじがらめになっている』嘗てはそうであったが、迎合するポーズを身に付け、価値観の強要も遇えるようになった私。それでも死を免れることはない。その時まで私の視界はこうピンぼけしたままだろうか2020/03/13
masabi
15
「普通」に働き人間関係に悩まない人には恐らく本書に登場する架空の人物の苦悩に共感できないのだろう。けれども「死にたくない」「愛されたい」「生きたくない」「評価されたい」「世間に従いたくない」のいずれかについて考えたことのある人に本書を薦めたい。その考えを言語化しさらに一歩深めてくれること請け合いだ。どれも矛盾しているようですべてが正しい。そしてこの正しさを直視することが強者への道となる。2014/08/04
るい
15
本屋さんでお目当ての本の近くにあるのにたまたま気がついてタイトルに惹かれてそのまま買った本です。よくこういうタイトルの本を衝動買いしてしまい、そういう本ってだいたい下手な励ましをしていることが多いのでがっかりしてしまうのですが、この本は良い意味で予想に反していました。思っていたよりも哲学的で、とても深く考えさせられました。また、自分が普段思っているけどうまく言語化できていないことをこの本ではきちんと言葉にされていて、自分の心の整理もできました。2014/06/11
あつ子🐈⬛
12
ほんとに、何でこんなに中島本が好きなのか。偏屈でちっとも優しくないし結局悩みは解決しないし。万人におすすめはできないけれど、それが哲学で、それが人生なのだよとも言いたい私がいる。 「エピクロスの言葉は、どこまでも真実である。『それゆえに、死は、もろもろの悪いもののうちで最も恐ろしいものとされているが、じつはわれわれにとって何ものでもないのである。なぜかといえば、われわれが存するかぎり、死は現に存せず、死が現に存するときには、もはやわれわれは存しないからである。』」 考え続けようと思う。死ぬその日まで。2021/04/28
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