内容説明
「何で学校に行かなきゃいけないんだ。明るくて、素直で、賢くて…。そんな子だけがいい子なのか?」そんな心の叫びを抱えた中学生の川島大介は、学校に行かなくなって半年になる。ある日彼は、九州・屋久島の縄文杉を目指して旅に出た。ヒッチハイクで屋久島に渡った大介は念願の縄文杉に辿り着く。そして旅の終わりに、一人暮しをしている老人・鉄男と出会い、一晩世話になるが、突然、鉄男の具合が悪くなり…。学校にも家にも居場所がない少年が、旅を通して成長していく姿を描いた感動の物語。山田洋次監督作品「十五才―学校4」の完全ノベライズ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
78
学園祭イベントでの先生お薦め本の一冊。15才は考える子どもほど厳しい年頃なのだろう。学校に行く意味を見つけられず不登校の大介。いい子って何?学校へ行って明るくて元気ならばいい子なの?葛藤の中、屋久島の縄文杉を見に行く決心をする。ヒッチハイクを重ねたどり着いたのは圧倒される自然の中に立つ縄文杉。人が入れる程大きな株。道に迷い谷に落ちた大介を老人が拾ってくれる。独り暮らしの侘しさタダヨウ住まいで泥を落とし、スナックでカラオケに興じ、洗濯と掃除をしながら大介は自分が変わっていくのを感じとる。良い本でした。2016/11/07
あきあかね
16
夜間中学校、高等養護学校、職業訓練校と多様な学校を舞台にしてきた山田洋次監督の映画『学校』シリーズはどれも素晴らしいが、シリーズの最後となる本作では、不登校の中学3年生の大介が主人公となり、「学校」という場は現れない。大介は屋久島の縄文杉を観に行くために、家出をし、ヒッチハイクの旅をする。その中で出会うすべてのものが、彼にとって「学校」だったのかもしれない。時に美しく、時に峻厳に屹立する屋久島の大自然もそうであるし、様々な人たちとの一期一会のめぐり逢いもそうである。⇒2023/11/13
hana
3
17歳、学校に行けなくなった時に母が映画のチケットをくれて、新宿ピカデリーに一人で観に行き、涙を流しながら観たあの日を懐かしみつつ読了。あの映画良かったなぁ。今観ても同じように感じるんだろうか。やはり映画向きに書かれたものだからか、映画のインパクトが大きかったからか、本の方が後感があっさりした印象。でも活字には活字の良さがあって、これはこれで良い作品だと思いました。2015/01/15
みー
1
学校へ行くことに違和感を感じて不登校の大介がある日突然縄文杉を見にヒッチハイクで旅に出る。その最中で様々な人と出会い成長していく。 私も大介と同じ15歳で同感することが多々あった。 最終的に学校に行けるまで成長してて感動した。2022/03/01
Takao
1
2000年10月25日発行。ノベライス;百瀬しのぶ。巻末には山田監督と灰谷健次郎の対談も収録されている。2000年に上映された映画を小説化したものだが、15年を経た今でも、読み進むうちに映画館で観た映像が鮮明に思い浮かんでくる。山田洋次作品をそんなに多く観たわけではないが、大好きな作品の一つだ。不登校の大介が、様々な大人たちと出会い、成長していく冒険物語。監督は大介を学校に復帰させるかどうか悩んだというが、そんなことはどうでもいい、と思った。それだけの価値のある、屋久島までの大介の旅。2016/06/24