内容説明
明治維新―。「忠臣は二君にまみえず」との信条を貫き、昔を懐かしみつつ零落する尾張藩・松平甚之進保真。落ちぶれるがままの保真の一方で、二人の妹と売り飛ばされた四人の娘は、絶望的な状況のなか、生きる希望をつかみとる。将軍側室から船頭の妻へ、盗賊の女房から尼へ、芸者から人妻、教員へ、そしてシンガポールでの奇跡的な再会…。数奇な運命に翻弄されながらも、したたかに生き抜く女たち。松平家の末裔が一族の凋落のさまを見つめ、淡々と綴る赤裸々な記録。
目次
第1章 御一新
第2章 売られた娘たちの消息
第3章 甚之進、流浪の旅
第4章 不思議な縁
第5章 母と二人の大伯母
第6章 私の娘時代
第7章 私の結婚
第8章 悩まされ続けた日々
第9章 山の暮らし
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナジィ
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面白かった。歴史で語られるのは英雄のみだが、もちろん同世代にはそれ以外の人々の方が多いわけで。そんな語られない元士族の困窮した生活を丁寧に語った一冊。大変興味深い内容でした。 それにしても大切なのは生活力。改めて痛感した。後、昔の日本の倫理観があまりに現代と違うことにはビックリした。2017/06/08
如月光子
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没落した松平家の転落人生
あおい
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御一新で時代にのれずに没落した士族、食えなくなると娘を売る。それで得た大金も借金であらかた消え、さらに困窮すると懲りずにまた、今度は嫁に出した娘をだまして売り飛ばす、そんな行為も息子にはせず娘にだけ、、、数年経ってようよう売るもの(娘)が無く困窮すれば今度は売り飛ばした娘を頼って訪ねて世話を受ける、なんとまぁ良心の呵責というか誇りや悔悟の念は無いのだろうか、武士の矜持はいづこへ、、、三代のハナシだが爺の時代だけでもじゅうぶんに胸糞悪い "(-""-)" シツレイ。ノンフィクだそうで、前のめりで興奮しました2020/08/13
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