出版社内容情報
「言葉の採集が趣味」という柳美里が小説・新聞・雑誌などメディアの言葉を拾い集め、阪神大震災、サイン会中止事件などさまざまなトピックスをちりばめた言葉の宝石箱。柳美里ならでは鋭い感性・観察眼が光る。
内容説明
「子どものころから気に入った言葉をノートに書き写してきた。いまでも、唯一の楽しみは言葉の採集」と語る著者。彼女の手によって、小説、テレビ、雑誌、はては観光パンフレットまでさまざまなメディアから切りとられる、歓び、哀しみ、恋、喪失、狂気、死―。脅迫電話によるサイン会中止事件では言論の自由について考え、マラソンランナーであった祖父の足跡を辿って韓国を旅し、なぜ彼が走ったのか、そして自分はなぜ小説を書くのかを、自問する。言葉と世界に向きあった真摯なエッセイ。
目次
ある朝の幸せ、翌朝の不幸せ(死刑とは何か、死とは何か;孤独な散歩者;二十四時間の待ち合わせ ほか)
懐かしさと恨と(韓国の左門豊作;女性教師のメモ;八十四歳の孫基禎さん ほか)
言葉のレッスン(純文学のひと;書物に対するテロへ;守らなければならないもの ほか)
著者等紹介
柳美里[ユウミリ]
1968年在日韓国人家庭の長女として、横浜に生まれる。88年劇団「青春五月党」を結成。93年『魚の祭』で岸田国士戯曲賞を最年少で受賞した。その才能を高く評価され、最も注目を浴びる作家のひとりである
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感想・レビュー
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kera1019
4
「家族の標本」「私語辞典」「言葉のレッスン」と3冊続けて読んで、一つ一つの短い文章に至極満悦。あとがきに書かれてた「言葉は人間が作り出した最大の文化であり、生きるために不可欠な技術でもある。他者を見失うことでコミュニケーションが損なわれ、言葉への信頼が弱まりつつあるいまこそ、不透明な未来へのナビゲーターは言葉でしかないのだ。」という一文を十分に納得させられる内容でした。う〜ん、柳さんの本を読んでると時間を忘れて愉悦にひたってしまいます。2013/12/11
toddJPEN
1
芥川賞作家のエッセイ。賞を取った家族シネマは挫折したのだけど、これはパラパラ見て読めそうだったので買った。月に20本も映画を見るとか(映画館で)、伊豆河津の「つりばし荘」という温泉宿がめっぽうサービスが良いとか、ゲイを好きになってしまう癖の話とかが印象に残っている。2021/07/01
しゃいる
1
書籍や手紙の引用から始まる2ページほどの短いエッセイ集、というより日記みたいな文章。最後に、それらに込められた言葉に対する思いが書かれ、一区切りついたような読後感。2012/04/10
ゆきねこ
1
朝日新聞の連載コラムをまとめたもの。作者の知り合いの多さと文の表現力の豊かさ、物事の捉え方などがさすがです。
niko
0
柳美里さんは名前だけ知っていたのですが、この本はエッセイなので普段どんな本を書いている方なのか分かりません。ただ、このエッセイは可もなく不可もなくという感じでした。拾い集めた言葉と、それに関連するトピックを選んでエッセイを書かれていますが、その言葉も別に特に必要ないんじゃないかと。名前だけ見て借りてきたのですが、思っていたのと内容が違っていてちょっと残念でした。2009/08/18