内容説明
幼い頃から親しんできた物語。そこでは、空飛ぶものにも、水を潜るものにも、植物さえにも、なることが出来る。とりわけ謎物語が好きだと言う著者が、落語、手品、夢の話といった日常の話題を交えながら、謎を解くことの楽しさ、本格推理小説の魅力を語ったエッセイ集。
目次
まずは前置きとトリックについて
トリックについて(続き)わたしの好きな仕掛け
わたしの好きな謎解き 漱石と探偵達
手品趣味と意外性への郷愁
謎解きと物語
懺悔と叙述トリック
芥川の“昔”
魅せる踊り
夢をめぐって、そして夢の作風
先例、おそるべし
見巧者の眼
トリックと先例
解釈について
著者等紹介
北村薫[キタムラカオル]
1949年、埼玉県生まれ。早稲田大学卒。『空飛ぶ馬』でデビュー。1991年、『夜の蝉』で日本推理作家協会賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばりぼー
45
ミステリに関するエッセイ集。次から次に話のネタがとびだす北村さんの博識ぶりにはため息が漏れます。は〜、羨ましいかぎり…。印象に残ったのは、叙述トリックの傑作として紹介されている、服部公一氏の「やっこらしょ、どっこいしょ」。「トリックが物語になる」とは、こういうことを指すのだという好例です。それと、子供の詩「五足のうわぐつ」が改竄されて「古い運動靴」となった話。大人の良識が言葉を殺し、子供の感性を潰す見本ですが、これを美しい日本語とでも言うつもりなのでしょうか?大人が、余計なことをしてはいけません。2013/11/14
雨衣
12
様々にミステリーが紹介されているこの本には、ミステリーの面白さを再認識させられ、加えて、まだ知らない手法に関する面白さを見出すことが出来た。見巧者の目線に触れることは自分の視野を広めることに直結することを実感する。読みたいと思える本がこれほど増えるのは、北村さんの紹介が魅力的だからだろう。あくまでも、作品に触れてもらいたいという思いが込められている部分に、北村さんのミステリー好きである気質が見えた気がした。最後の方は未読注意があったために読めなかった部分もあったので、またいつか再読しよう。2014/02/25
minami18th
8
ミステリ好きなら必読の一冊。よくある評論ではなく、読む楽しみを確認させてくれる内容。こういうの好きです。2012/05/28
Megumi Ichikawa
7
宮部みゆきが書いているーこの本をこれから読む読者(あなた)は、とびきりの幸せ者ですー第8回・魅せる踊りが良かった。暗合(偶然の一致)に呆然としたり、恐ろしくなったり。 こんなところから、ミステリーが生まれるのだろうか?P67[トリックがなければ物語は成立したない。いや、トリックこそが物語なのだ。]読んでいてなるほどと納得。そして、くすっと笑えるエッセイ集。2015/02/16
桜井青洲
6
ミステリを題材にしたエッセイ集。著者の本へ愛情が伝わる一冊。たくさんのミステリ作品に興味を持て、さらには映画や落語、詩などひとつひとつ気になってしまうような語り口で興味の幅が広がる。評論や批評とは異なり作品の楽しみ方を教えてくれる作品。そして何より最後の索引の存在は大きい。2014/09/07