感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
52
今ではあまり顧みられないようだが、通説である「臺(台)」の字が、本来は「壹(一)」であったとする「邪馬一国」学説は、非常に話題になったことがある。一見して突飛な説のように思えるが、従来の学説が、史料の本文を安易に誤りであると決めつけていたことも一概に否定はできないだろう。実際の用例を調べて「よくある誤り」とは言えないことを論じた実証的な方法には説得力がある。著者の論は全国に多元的に王朝があったとする説へと発展していくが、今でも一元的史観にとらわれない学説が行われているのは、この本の影響の大きさを物語る。2022/05/09
つちのこ
2
1977年発行。同年読了。検証の出発点は「邪馬壹国」を史家が「邪馬臺国」と誤記したことから始まる。『三国志』の原本には、【臺】や【台】を使ったものがないことをその根拠に挙げていおり、「邪馬台国」ではなく、「邪馬壹国」または「邪馬一国」にすることへの提言をしている。ちなみに所在地は、福岡市周辺という九州説をとっているが、その背景として古代遺跡や遺物の分布の多さを挙げているが、発想としては平凡すぎて、突飛性はない。本書が出版された以後、「邪馬壹国」を表記する本も出てきており、その影響は図らずもあったようだ。
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- 和書
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