内容説明
維新の大功労者でありながら、新政府の下、なぜ西郷は薩摩へ下野し、士族とともに散ったのか。彼が心で描き、行動で示してきたものとは何だったのか。島への流罪、藩政改革と討幕戦争、そして征韓論争と西南戦争。過酷な運命を前に、折にふれ綴った手紙や詩文、ふと漏らした言葉の中に、その足跡と思想の根幹を見出す。「事の成否を問わぬ」決意を貫き、人間として政治家として、今なお賞賛される英雄の生涯とその心情に迫る。
目次
1 詩と語録(人を相手とせず、天を相手にせよ―西郷南洲遺訓;夢幻の名利を争わず―詩と人生;詐謀と至誠のはざまを生きて―書簡でつづる我が人生と革命)
2 西郷隆盛論―政治家の原像(英雄;革命;退場)
著者等紹介
奈良本辰也[ナラモトタツヤ]
1913年(大正2)、山口県生まれ。歴史家。38年(昭和13)、京都帝国大学文学部卒業。立命館大学教授などを務めた後、在野の京都知識人として活躍。2001年(平成13)3月、逝去
高野澄[タカノキヨシ]
1938年(昭和13)、埼玉県生まれ。同志社大学文学部卒業後、立命館大学大学院に学び、同大学助手を経て作家となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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吟遊
7
良書だと思うが、ちょっと訳・解説がくどいか。遺訓のところが一番よい。2020/01/17
Като́н
0
よくまとまっているのに、力みすぎて詩の訳が臭すぎるという意見はわかる。 「支配者として一国の政治を行うとのは天の道を実践することである。だからそこには少しの私心もあってはならない。心を公平に配り、正道を踏み、賢人を選んで用い、その役職に相応しい人物に政治を行わせるのが天の意だ。いくら国家に勲労があったといっても、その役職に相応しくない人物に職を与えて褒賞とするのは一番いけないことだ。官職は人物本意で委任し、功績には俸禄を持って賞しておくべきである」2024/01/29