出版社内容情報
砂漠対モンスーン、遊牧対定住、一神教対多神教など、ユダヤ人との対比という独自の視点から、卓抜な日本人論を展開。豊かな学識と深い洞察によって、日本の歴史と現代の世相に新鮮で鋭い問題を提示する名著。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベイス
74
ユダヤ人のふりをした山本七平による「ここが変だよ日本人」的論考。ユダヤ的視点から眺めることで、日本人のユニークさがより際立ってくる。どうも日本人は平和も水も当たり前にふるまわれるもの、と思っているフシがあり、本当の戦争を知らない「お坊ちゃま的出自」が世界史の表舞台に躍り出て、舞い上がって思い詰めて破局を招いたのだという。面白いが、さすがに50年以上経ってすんなりとは受け入れられない部分もある。個人的にはイスラエルのユニークさの指摘の方に学びは大きかった。今のイスラエルの強硬姿勢の根っこがちょっと理解できた2024/02/08
イプシロン
46
これまで日本文学と西洋文学を読んで感じてきた違和感の源泉が本書によってクリアになった気がする。それは日本的思考と西洋的思考の差であり、日本語と外国語による決定的違いなのだろう。日本気質とは無意識的でムードを重視する。欧米気質は意識的で具体性を重んじる。この点を鑑みない限り、双方が互いの思想を理解しあうのは困難なのだろう。そうなる理由も本書では分析されているのだが、このスペースではとても語れない。そもそもユダヤ人が正確に定義できないのと同じように、日本人も正確に定義できないのと同じようなものなのだから。2019/09/12
空猫
30
'14年のカドフェスやっと読了(^-^;。膝打ちまくり、腑に落ちまくり、付箋貼りまくり。もっと早く、いや学生のうちに読むべき本だった。'70年発行だが本質は変わらない。ユダヤ人と対比しての日本人論でもあり、「バカの壁」の根本原因が詳細に語られていると言って良い。日本人は「日本教徒」が根底にあるので一神教徒にはなれないし、侵略され言葉や文化を根こそぎ奪われた経験がないほぼ唯一の民族が故に、先進国でありながらガラパゴスという異色な国なのだ…等々。もっと読み込みたい、そんな1冊だった。2020/02/19
蓮華
23
昭和46年に日本に住むユダヤ人が書いた本。 ユダヤ人から見える日本人、日本がおもしろい。 特に日本人全てが日本教徒であると。 この考え方はなんとも斬新だ。 キリスト教も日本にくれば、言外の解釈で別のことになってしまうと。 違う目線から見る日本がおもしろかった。2017/12/18
Y田
19
自身を「ユダヤ系日本人」と称する筆者。安全にかけるコスト、時間感覚などの違いから日本人とユダヤ人の違いを説明し、そして日本人は無宗教などではなく「日本教」を信じる日本教徒だと結論づける。日本教徒は人間教徒とも表され、理外の理、法外の法、言外の言に従うのはユダヤ人には理解出来ないという。日本人とユダヤ人を並列に見てみようという発想がまず興味深い。当然違う所が沢山ある。その差異から、この人の目に「日本人」が改めて見えてきたのかなと思っている。ペンネームだというのも面白い。2020/05/20
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