内容説明
捜査が一歩進むにつれ、容疑者がまた一人死に至る。追いつめたかと思うと、次から次へと巻き起こるどんでん返し。狡猾な殺人犯に迫る判事にもたらされた決定的な手掛かりは、巡査部長の死で贖われたものだった。ありえない真実を示す証拠を前に判事の下した苦渋の決断とは?カントの臨終の言葉に秘められた謎とは?降霊術と科学的捜査、悪魔信仰と理性が共存する混沌の時代を舞台に繰り広げられる第一級サスペンス。
著者等紹介
グレゴリオ,マイケル[グレゴリオ,マイケル][Gregorio,Michael]
経歴は一切あかされていない謎の作家。新人離れしたストーリーテリングと緻密な構成で世界中のエージェントの度肝を抜いた『純粋理性批判殺人事件』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Hiro
2
世はまだナポレオンのいた時代。ドイツのケーニヒスベルクで起こる連続殺人事件を追い掛ける判事。難事件に手を差し伸べたのは純粋理性批判のカントだった。ストーリーはまあ面白いけどタイトルとカント推しな感じに惹かれて読み始めたせいで物足りなさを感じる。シンプルな物語であって哲学要素は感じませぬ。2016/12/12
Steppenwolf
0
それほど厚い本ではないのに遅々として進まなかった。結局犯人捜しはことごとく失敗した。結局私がこの本を読み切ったのはカント,ケーニヒスベルク及び同地の大学に興味があるということに尽きよう。 2011/06/25
うたまる
0
「死はわれわれすべてを支配する。恐怖はわれわれを乗っ取る。究極の恐怖は実に独特の精神状態を呼び起こすのだ。その精神状態には、いい言葉が見つからないが……」……近代人の寄る辺として”理性”を掲げたカントが、その”理性”以上の力を見出した、というテーマ。そのためか、殺人事件の犯人像や動機はふわっとして素っ気ない。ここら辺は若干物足りないところではあるが、”恐怖”が清澄な雪景色を沈鬱にし、純朴な市民を迷妄にし、単純な現象を複雑にする様はたっぷり味わえる。2012/03/29
旅猫
0
陰惨な事件でしたが、最後に救いがありました。歴史サスペンス小説として楽しめたかな。機会があれば、カント哲学・・・の入門編でも読んでみたいと思います。2010/12/06
pokosan
0
19世紀初頭のプロイセンが舞台なので司法や行政の仕組みは現代日本とは全く異なる。判事が犯罪捜査をしたり巡査が判事にパシらされているのは、そういうものと思って読むことにした。 ケーニヒスブルク(現カリーニングラード)やカントなど実在の地名人名が登場するので、Googleマップで街区や地形、史跡などをストーリーと対比させながら読むのが楽しかった。迷信や封建主義の古い時代からフランス革命に端を発する新しい時代への変化と絡めて、近代的な犯罪科学や分析的手法による犯罪捜査誕生の瞬間に立ち会っているような気分になれる2022/10/16
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