内容説明
世界なんて一瞬で終わる…。冷戦時代の際限ない軍拡競争が、沈黙の海の底に末曾有の怖恐を引き起こした。一九六一年、旧ソヴィエト連邦が極秘に開発した原子力潜水艦K‐19は過酷なミッションをともなう処女航海へと出港する。しかし当時の乗組員たちは、艦搭載の高度な核弾頭技術にくらべたら、素人同然の放射能対策しかとっていなかった…。きしむ潜水艦のなかで突然襲いかかる原子炉暴発のパニック!仲間たち、そして自分にふりかかる死の予感。極限の状況下で男たちは何を考えるのか。
著者等紹介
ハクソーゼン,ピーター[ハクソーゼン,ピーター][Huchthausen,Peter]
1939年生まれ。元アメリカ海軍大佐。アナポリス兵学校卒業後、ヴェトナム戦争などでの任務を経た後、東欧諸国、旧ソ連に駐在。ソ連海軍情報アナリストとして活躍する。1990年退役。現在はジャーナリストとして活躍中
秋山信雄[アキヤマノブオ]
1937年静岡県生まれ。海上自衛隊入隊後、潜水艦部隊に勤務。潜水艦なるしお、幹部学校などの勤務を経て一等海佐で退職。現在は翻訳、著述に従事している
楠木成文[クスノキセイブン]
翻訳家
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感想・レビュー
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myunclek
5
映画は見てないのですが、ハリソン・フォードが主演しているくらいですから、エンターテインメントとして、きっと面白かったんでしょう。作品の方はノンフィクションであるだけに、原発の恐ろしさを改めて感じさせられました。ソビエトが放射能廃棄物を日本海に投棄しているというのは聞いたことがありましたが。事故を起こした数多くの原潜が沈められ墓場になっている海があるとか。冷戦時代の軍拡による弊害は、この地球の寿命を確実に奪っている。2014/01/18
nizi
4
映画の原作というか原案。この本はソビエト原子力潜水艦の歴史にかなりのページが割かれており、ドラマ性は同じ著者の「敵対水域」が上。映画にもそっちのエピソードが取り入れられている。2024/07/03
tai65
2
星4・52014/11/26
うたまる
1
旧ソヴィエト連邦海軍の原子力潜水艦事故の記録。タイトルのK-19だけでなく、付録によると平均して1年に2件程度のペースで事故が起こっていたらしい。東西冷戦とは互いの陣営が拮抗しているものと思っていたが、ソ連側がここまで杜撰な兵器運用を行っていたことは驚きだった。愚かな上層部の尻拭いをしていたのが旧日本軍と同じく一般兵であることも知り、変に同情の念が湧く。そしてもう一つ、廃棄の問題。ソ連は放射性廃棄物を、中国は工業排水と生活排水を、韓国は人糞を日本海に捨てている。非文明人に囲まれた日本海が不憫でならない。2016/09/28
瀧本往人
0
閉鎖空間である原潜における過酷な事故に対して人間がどう立ち向かいうるのかを描くが、結果として10人もの犠牲者を出している。ストーリーは泣けてしまうが、本当は、ここには「ヒーロー」も「美談」も本当は必要としないように思われる。http://ameblo.jp/ohjing/entry-11745896763.html2014/01/09