内容説明
カデシュの戦いで奇跡的勝利を収めたラムセスは、偉大なるファラオとして名声を確立した。だが蛮勇ヒッタイトはエジプト侵略を諦めたわけではなかった。砂漠の掠奪者ベドウィンと手を組んだのだ。果してエジプトに平穏の時は訪れるのか―。一方、失踪していたモーゼが突然ラムセスの前に現れる。神の啓示を受け、ヘブライ人をエジプトから解放し、“約束の地”を目指すという。また、ラムセスを闇の力から守り続けてきた王妃ネフェルタリ。その最後の命を燃やす愛妃のために、ラムセスは光の力を生み出す大神殿を築く決意をする。ファラオの愛と哀しみが絶頂を迎える、感動の第四巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
68
ラムセスを取り巻く骨肉の争い。だが、そういったお家騒動はエジプトに限らず、ヒッタイトでも皇位を狙って激しい権力争いが繰り広げられる。厳しい男たちの世界の背後で、ネフェルタリの存在はあいかわらず清らかそのもの。だが、優れた巫女的存在としてラムセスを魔の力から守り続けたネフェルタリも、ついに力つきてその命を終える。心に空いた穴をラムセスはどう埋めていくのか。ラムセスの目指すエジプトの平和は、いつになったら訪れるのか。2019/11/08
明智紫苑
10
ついにヒロインのネフェルタリが亡くなってしまったのは寂しいが、ラムセスとモーゼの決別のいきさつってこうだったのか? 初めて図書館で借りて読んだのは十年近く前だから、結構内容を忘れているんだけど、ウルヒテシュプのインパクトは当時から強かったね。2014/12/02
まなつ
9
太陽の王ラムセス シリーズ4巻まで読了。 今までの問題がほぼ全て解決して、多くの人が亡くなり、最後の最後に、ラムセス最愛の王妃ネフェルタリまで…。最近「世界ふしぎ発見!」でアブ・シンベル神殿やネフェルタリの墓所を見て、その保存状態の良さと色彩の美しさに感動!ネフェルタリが、神になった唯一の王妃って言われるのもうなずける。いろいろ盛りだくさんで、ここにきて少々疲れが。いよいよ最終巻だけど、しばらく休憩かな~。2018/01/12
いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】
9
*英雄物語4巻*カデシュの戦いで奇跡的勝利を収めたラムセス。だが彼の試練は、ここからがむしろ本番だった…。敵国ヒッタイトは、同盟を得てエジプトへの再侵略を画策…、また、旧友モーゼまでが"神の啓示を受けた"と謀反を計画する…。この窮地どうする!?――なんたるピンチ! ⇒続き2014/02/02
Hiroshi Takeshita
4
経済システムとしての神殿。ファラオは司法に介入せずという法治主義。世界初の平和条約締結となかなか盛りだくさんの第4巻。中でも、出エジプトが緻密に描かれるのが素晴らしい。一神教は排他主義に陥るというファラオの言葉に対し、モーゼはまるで狂信者の様に描かれるが、ここは他に書きようがないだろう。ちなみに過越の祭、なにが過ぎるんだろうと長年分からなかったが、過ぎて行くのは皆殺しの天使らしい。長子皆殺しがヤーウェの意志なんだから、やはり他に書きようが無い。出エジプトはここでは追放とある。納得。2017/08/30