内容説明
何者かの罠にはまり姿をくらました伝説の凄腕“フランキー・マシーン”を、マフィアの刺客がつけ狙う。20年来の友人、連邦捜査官のデイヴ・ハンセンも重要証人の殺害容疑でフランクの逮捕状を取った。じりじりと包囲網が狭まる中で、フラッシュバックする記憶をふるいにかけるフランク。誰がなぜ、彼を消そうとしているのか。だが容疑者のリストはあまりに長く、残された僅かな時間は尽き果てようとしていた―。黄昏の元殺し屋に仕掛けられた罠。鬼才、円熟のクライム・ノヴェル。
著者等紹介
ウィンズロウ,ドン[ウィンズロウ,ドン][Winslow,Don]
ニューヨークをはじめとする全米各地や、ロンドンで私立探偵として働き、また法律事務所や保険会社のコンサルタントとして15年以上の経験を持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
384
下巻に入ってスピードを増すが、ページ数に比して登場人物が多すぎるためにいささか煩雑なのは相変わらず。FBIをはじめとした国家権力が犯罪組織を撲滅したがる理由を、「おれたちが商売敵だから」とするのは、反権力のドン・ウィンズロウらしい見方であり、本書の基本的な構造はまさにここにあったのである。なお、エンディングは終章の前の91で終わっていても良かったような気もするが、あえて蛇足めいた終章を付け加えたのは続編の含みを残すためか。もっとも、フランキーが既に62歳ではそれはないだろうか。2022/05/08
harass
88
主人公を狙う黒幕は誰でその動機はなにか、サスペンスフルな構成と、緩急のある展開に引き込まれページが減っていく。キャラがやや類型的なのが読みやすいのだろう。主人公の過去のエピソードの面白く、唸らせる展開に満足。あとがきによるとこれは2006年発表で、著者の10作目にあたるという。まだ未読の小説も多く、今後が楽しみだ。「美しい人々が美しいままでいられるために、どれだけの人間が死ななくてはならないのだろう、とフランクは自問した。」2019/03/03
猿吉君
85
フランクの大人なキャラといざという時の圧倒的な強さ、こんなおじさんを待ってました!!①ちょい悪オヤジとか裸足で逃げ出しそうな悪なんだけど自分のポリシーあり、フランクに惚れました。②相変わらず女の人は皆いい味出してます。③人間の欲望のきりのなさ、マフィアの怖さ、汚さ、栄枯盛衰が書かれていて「結局何も残らない」虚しさが凄まじい。④しかし上下巻にするほどのボリュームじゃなくてサクッと読めます。⑤フランクのその後については続巻で読めます(^u^)点数85/100→こういうおじさんが大活躍する話もっと読みたいです!2020/11/12
ずっきん
85
【ドン・ウィンズロウ再読祭り開催中】マフィアの矜持なんてどうでもいいくせに、仁義を欠くことができないこの男、フランキー。本作を読むと、卓越した人物造形に気づく。ほんの一幕の出番しかない役者に至るまで個性が際立ち、その思弁と行動の一貫性に破綻がない。だから余白たっぷりでも物語がスムーズに滑るんだなあ。「昔はよかった」なんて台詞は大嫌いだが、そう叫ぶコーキー元刑事のシーンがたまらない。出番はたったの3ページだけれど、脳内で彼の物語が一気に展開する。熱く、切なく。「犬の力」は重すぎるという方にお薦めのドン様。2020/05/17
Panzer Leader
76
「犬の力」の後ウィンズロウ自身が肩の力を抜いて楽しみながら書いたんだろうなと思わせるハードボイルド・エンターテイメント。こんな作品をまた書いてくれるのかなと思いながら、いよいよ「ザ・ボーダー」へ!2019/09/15