内容説明
毒リンゴの罠におちいりながらも、無理に息を吹き返した雪姫。しかし物語は、「めでたしめでたし」では終わらなかった。さて、継母の運命や如何に…。聖書の次に多くの読者に読まれているという『グリム童話』。本編はグリム兄弟の手によって幾度も改訂された後に、ついにできあがった完全版。洗練されていながらも、オリジナルの味わいが息づいている。グリム兄弟が本当に伝えたかったものがここにある。初の完訳版ついに刊行。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪守
11
グリム童話、原作を読んだのは初めて。絵本で見たり色々なモチーフの形で親しんできたけれど、ラプンツェルやルンペルシュツルツキンといった有名どころを読み逃していた作品やこの本で初めて知った作品を読めたのは満足。作品毎の解説で日本の童話との関連性について触れられており興味深く読めました。ただ物語の構成の説明が少々分かりにくく、一部整合性が取れてなかったりするのが残念でした。2012/03/18
このこねこ@年間500冊の乱読家
3
⭐⭐⭐ 聖書の次に読まれていると言われるグリム童話。 日本の「一寸法師」や「さるかに合戦」と似た話があるのには驚く。ユングが「集合的無意識」「人類の共通のイメージ」とか言うのもわかる。 この手の物語の原型は、1000年近い年月をかけて世界中に広まっていったのでしょうね。2021/08/23
Arowana
3
まさに、ドイツの豊潤な文化が生んだ禁断の果実といえそうだ。人格性の糸(意図)から解放された人形たちが自由に織りなす甘美で魔的で狂ったワルツ。そしていつも魔法使いのお婆さんが、「謎」という名の隠し味でぐつぐつ煮込んだ香ばしいスープの匂いを漂わせながら誘惑してくる・・・実に味わい深い世界。2013/03/29
ymmtdisk
2
古典を読みたかったことと、ディズニー映画原作を改めて読んでみかったことが手に取った切っ掛け。 寓話であったり笑い話であったり、ちょっと空いた時間に読むには最適だった。 他の童話や日本の昔話との類似性を解説されており、その点も面白い。 ディズニー映画の原作は、この巻では4つ収録。 野ぢしゃ=ラプンツェル 灰かぶり=シンデレラ いばら姫=眠りの森の美女(オーロラ姫) 雪姫=白雪姫 あとは落語の「死神」の原案という噂の「名付け親の死神」も収録されている。これは「落語ディーパー」で知った。2019/12/02
霞草
2
のんびりとグリム童話の世界を楽しみました。時には残酷な場面もあるけど、その中には様々な人生の教訓もありとても面白かった。お気に入りは「つぐみの髭の王様」器量はいいが傲慢な王女と、その王女を一途に愛した王様の物語。今までの行ないを王女が見つめ直せるように、貧乏な旅芸人に変装して根気よく愛する人の為に尽くした優しい王様。その優しさが王女を変え、幸せな結末が待っている素敵な物語でした。脚色されたのもいいけど、原作も素晴らしくて“さようなら魔法使いのお婆さん”の題名が原作にぴったりだなと思いました。2012/09/18