内容説明
「愛はジョークじゃない。生きるか死ぬかの問題だ。いつか遠からず、彼女もそのことを悟るだろう…」そして女たちは身をもって知る。愛情と狂気は紙一重なのだと、その恐怖からは誰も救ってくれないのだと―。若い女性教師ズーイ、三人の息子を抱えるジェニファー、エンタテイナーのナディア。生活も、悩みも夢も違う赤の他人の三人が、同じ恐怖で結びつけられてゆく。日常の秘密が剥き出しにされる時、女は妄想の手に落ちるのか、現実を、自分を守り抜けるのか。『優しく殺して』のニッキ・フレンチが満を持して放つ、エロティック・ミステリの真骨頂。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆのん
52
物語は3部構成になっていて、それぞれ3人の女性が一人称で語る。悲劇は一通の手紙から始まる。イタズラと思っていた手紙の内容は次第に脅迫めいたものとなる。1人目の女性・ズーイは怯えるも警察はこちらが苛立つほどのんびりとしている。2人目・ジェニファーは妻として母としての心配や不幸の中で脅迫者に対し集中出来ずにいる。3人目・ナディアは怯えから戦いへと変化してゆく。登場する男性陣が警察も含め最悪な連中ばかり。特に警察側の無能さには苛立ちを隠せない。ナディアと共に犯人が誰なのか探す体験が出来て一気に読んでしまう。2024/02/10
水戸
1
ばり怖い……。女性の中には、ここまで狂気的じゃなくても、好意という名のささいな暴力を受けた経験がある方は、少なくないのではないかな。その経験がベースとなって、被害者の心理をリアルに味わえるのでないかなと。被害者の共通点が、発信者からすれば純粋な好意ではあるけれど、受け手側にとっては恐怖に感じるものを受けやすい人の特徴に合致していて、リアルだった。冷静ではないふりをしていても、加害者は頭の隅で、冷静に自分より弱いものを選んでいる、という言葉を思い出した。2018/03/15
椿子
0
三人の女の人が同じ恐怖を味わうお話。ありがちな展開に思えるのだが、ニッキ・フレンチのすごい所は最後にあると思う。もうここまでだったら一層心地よいと思うほどの諦観。自分を守れるものは自分しかいないのだ、というものをやはり改めて実感した作品。面白かった。2010/06/10
慧
0
★★1/22002/01/23