内容説明
ビジネス・エリートたちの拝金主義にうんざりし、都会を逃げ出した男女三人。砂漠のバンガローで独立した暮らしを始めた彼らは、自分たちの人生の価値を発見する。20世紀の終わりの、そして新しい次の1000年の始まりの世代―ジェネレーションX。その精神的生活を完璧にとらえた、注目のカルト・ロードノベル。巷で増殖するX世代のバイブル、待望の文庫化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
72
未来や自分に対する夢や希望もなく、日々をのんべんだらりと過ごし、自分とは違う世代を矢鱈と馬鹿にする事がアメリカにもあったなんて。息詰まるようで、かと言って完全に絶望できずに死にきれない将来。責任感も持たず、気怠げに重ねられる日々は楽で、同時に逃れられない「文明」という概念と自分を比較して真綿で首を締め付けられるよう。三人組の会話よりも語録の方が、その醒めた思考を表していて的確だ。また、一見、理解者のようなThe Americanに見えたトバイアスが豹変する場面は思わず、『アメリカン・サイコ』を重ねてしまう2018/05/01
バナナフィッシュ。
9
こうやって前の世代は否定され、時が経てばまたこの世代も乗り越えられていく。今はさとり世代。こうやって砂漠に行くこと自体を断り、自分にとって必要な物品だけをいいとこ取りする。煙草も吸わないし、お酒もほどほどに。十年後はどんな世代?ファッション業界みたく循環しているだけなのか、はたまたその都度生み出されていくものなのか。とにかく全世界的な一つの流れとして動いていくことにはなりそうだ。2016/07/08
マコ
6
クープランドとの出会いは10年前、友達の家のトイレの中だった。この本には、ノスタルジックだけど今までに感じたことのない新しい感情がつまっている。表現もオリジナルだし、欄外の新語?もすっごくあるあるばかり。特に地上でのいちばんの記憶について話す場面が神がかっている。登場人物はもうすぐ30の若者達。クソみたいに退屈な大人になる前の、永遠には続かないモラトリアムを味わう。最後の子供達とのシーンで、ライ麦畑の「アリー、僕の身体を消さないでくれよ」を思い出した。2016/12/03
みつたや
3
特別なことは何も起こることはなく、終始エモい会話が繰り返される。適当にページを開いても楽しめるので何度も読み返したくなる本。2017/01/01
のも
3
90年台ボヘミアン小説の金字塔。時折吐露される本音が胸を裂く2016/04/30