内容説明
カリフォルニアの原子力研究所で学者が事故死した。現場の研究室は焼夷弾を爆発させたような強烈な熱の放射にさらされていた。そして、核物質のないはずの同室から大量の残留放射線が検出された。さらに、同様の不可解な核事故が各地で相次ぐ。X‐ファイル担当のFBI捜査官モルダーとスカリーは調査の現場で奇妙な黒い古びた灰を発見する。そして、ついに被害者たちが何らかの形で極秘進行中の新核兵器プロジェクトに関わっていたことを突き止めた…。ドラマ未収録オリジナル小説、待望の第三弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
saga
50
【再読】副題が示すとおり「爆心地」がキイワードだ。広島・長崎に投下された原爆の1千倍を超す核爆弾の被害者の想念が「核心」だった。アメリカの水爆実験と同じマーシャル諸島の環礁が、再び舞台となった。読者のみが殺人の動機と犯人に近づくHow done itな推理小説で、Xファイルに相応しい展開だった。2021/09/12
まえすとろ
6
最近のマイ・リバイバルブーム(笑)第三弾は核兵器の開発にまつわる不可解な連続殺人事件。新たな核開発に執着する者、それに反対する者。過去に核の犠牲となった者。それぞれの「正論」にモルダー達ならず読者も考えさせられる重く切ないお話。アメリカが過去に行った核による蛮行にも言及、核兵器による初の被爆国となった日本も重要なキーポイントとして描かれている。舞台は米国内にとどまらず南太平洋まで及ぶスケールの大きなもので内容も映像的にデリケートに成らざるをえない部分もあるので小説版となった事も伺える読み応えある読量感。 2012/02/01
D4C
2
核を使った側と使われた側。歴史で知ってはいても、その重みというのが、まるで違うんだろうなぁと実感。作中のあるセリフ、これを被爆者が聞いたらどう思うんだろうなぁと。面白い面白くない以前に、そういった点が気になってもやもやしてしまった。2022/11/26
ニミッツクラス
1
X-ファイルのスピンオフ3作目(96年)でオリジナル本。訳者南山氏(この分野では著名な方)のあとがきが毎回楽しい。本書、前2作と変わって荒技的だがミステリっぽい出だしにワクワクした。邦題は原題のままで、9.11で庶民にも広く周知された。しかし一体どう収めるのかと・・何しろX-ファイルだからやり逃げ、というか読者の御意のままに的丸投げの可能性も高い。この設定だと時空や精神?への影響もさもありなんと思えるが、前作の呪術まがいの範疇とも思える。今回は生還できただけでもOKで、スカリーの報告書が妥当。★★★★☆☆2012/07/29
kinta
0
いや、面白かった。 ・・・というには不謹慎な題材を扱っていて、決して「楽しい」わけではないのだが、ページをめくる一枚一枚がわくわくするほど、小説として、そしてファンタジーとしてよく出来ている。 2人のテレビの活躍を知らなくても、過去や生い立ちにおける考え方を提示されるシークエンスと事件の時系列。 哀しいまでにドキドキする、という二律背反の思いをかみ締めつつ読了。 もう一度、テレビシリーズを見直そうと思った次第。
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