内容説明
毎週土曜、午後一時。レオノーラは、かつての恋人である青年実業家ガイ・カランとランチデートをするのが習慣だった。それは執拗によりを戻そうとするガイを納得させるために、彼女が提案した約束であった。その席で彼女は婚約者がいることを告白する。それも、結婚式は目前に迫っていた。愛の復活を渇望し、彼女が生涯ただ一人の恋人と信じて疑わないガイは、ある一つの計画を思いつく…。愛情が激情へ、そして狂気へ。ゆるやかに崩れ堕ちて行く男の内面を、冷徹な筆致で描いた、出色の心理サスペンス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
50
売人から這い上がって富を手に入れた男。恋人だったはず(!)の女性には、いつの間にか婚約者が。金を手に入れ、美しい女性から愛されても、どん底の頃出会った女性が忘れられず、想いは狂気を帯びていくというお話しです。タイトルはそのまんま、主人公をあらわしていますね。普段はアウトローな男っぷりでありながら、愛する女性の前では情けない行動を取ってしまう主人公。純愛に絡め取られ、我を忘れていく姿には、同情すら覚えます。ラストは想定内ですが、単なるストーカー話しとして簡単に片付けられないもの哀しい余韻をのこすのでした。2021/07/11
星落秋風五丈原
28
ガイは「ああ、いわゆるストーカーか」と判断されそうな男だ。実際レオノーラの家族や恋人からすれば、望みがないと知りながら「必ず彼女は自分と結婚するはずだ」と思い込んでいる彼は怖い存在でしかない。但し別の視点から見ると、可哀想な男である。終盤近くになってガイの恋人セレステが的確に指摘している通り、きっぱりと拒絶する道を取らず、最後はだまし討ちのような形で結婚するレオノーラにも非はある。職業こそ怪しくても美形で金持ちの取り巻きを持つ事に優越感を抱き続けたい気持ちが彼女に少しもなかったわけではないのだ。2021/03/21
♪mi★ki♪
28
ストーカー事件が多発している昨今だから、事実の方がよっぽどショッキングなので、どうってことなかった。元カノに固執する主人公。女って一回冷めると戻らないことを学べ。wつーか、主人公に固執されているレオノーラもイカレてるし、どこが魅力的なのかもわからん。結末はちょっと意外だったけど、目新しくもなく刺激も無いサイコサスペンスとしても完成度の低いつまらない一冊でした。2017/03/15
うーちゃん
15
ガイとレオノーラはかつての恋人同士。今でもレオノーラを運命の人と信じて疑わず、執拗に復縁を迫るガイ。←めちゃめちゃしつこい。怖い。そんな彼に冷たくなりきれず、なだめるために毎週ランチを共にするレオノーラ。一見ガイの妄執とも言うべき愛情の暴走、その被害者であるレオノーラという構図だが、「私、こんなにも愛されてるのよ!」という女の優越感が見え隠れする、そんなレオノーラ側の欺瞞も見逃せない。絶対に友達になりたくない二人である。「ロウフィールド~」が有名なレンデルだが、こういうのもあるんだね。厭な作風、好き。2021/10/29
アカツキ
14
レオノーラは執拗に復縁を求めるガイをなだめるために毎週土曜日に一緒に昼食をとるのが習慣になっていた。その昼食の席でガイから一緒に歩いていた男を訊ねられたレオノーラは恋人だと答え、新聞に近々結婚するという記事が載る。ガイは自分とレオノーラの仲を引き裂こうとする人間がいると考えて…。レオノーラが思いやりがある風にガイに接してるけど、黒いものがはみ出てますよと思っていたら案の定…。でも、ガイを可哀想と思えないのは自分の信じたいことしか受け入れず執着するストーカー気質のせいかも。退屈のあまり中盤以降は流し読み。2020/08/02
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