角川文庫<br> 売国奴の持参金

角川文庫
売国奴の持参金

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  • サイズ 文庫判/ページ数 243p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784042537144
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

引退を勧告されたマクレディの聴聞会が再開された。ソ連軍将校団がイギリス軍の演習に招待された時のことだ。演習は、それぞれの思惑を秘めながらも穏やかに進んでいた。ところが一人のソ連将校が逃亡し、アメリカへの亡命を申し入れた。彼の正体はKGB大佐。アメリカは亡命を受け入れた。亡命者は多くの情報をもたらした。CIAはその情報の裏付けをとり、彼を信用し始めていた。だが、マクレディは何か腑に落ちなかった。亡命者の真意は何なのか、スパイ対スパイの息詰まる駆け引きが始まる―。“最後のスパイ小説”マクレディ・シリーズ四部作第二弾。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みも

71
構造は極めてシンプルで、アメリカへ亡命したロシア人が本物か、偽亡命か?印象で言えば犯罪のアリバイ崩しに似ている。徹頭徹尾本物と疑う余地がないロシア人の言動を披歴したのち、最終的にはその堅牢に見えた嘘が主人公によって暴かれる。それにしてもこの中に詰め込まれたスパイの世界の蘊蓄たるや、よくもこのページ数に盛り込めたものだと感服するばかり。本著の真骨頂は、裏情報の膨大さなのかも知れないが、僕にとってはその蘊蓄の挿入により読書ペースを乱され、かえって乗り切れなかった感がある。ただ、優れた作品である事は間違いない。2023/10/04

ヴェルナーの日記

52
“DECEIVER”(騙し屋)シリーズの第2弾。タイトルの『売国奴の持参金』の原名は、“The Price of the Bride"。そのまま訳せば、『花嫁の持参金』という意味になるが、やはり、ここ第1作と同様に俗語で、『花嫁』とは、『裏切りスパイ』のことで、その『持参金』とは、敵側の情報のこと。東西冷戦時代のイギリスの敵側といえば、ソビエト連邦のこと。ようするに『裏切りスパイの持参金(敵側情報)』ということになるが、『裏切りスパイ』は、自国を売った『卑劣な奴』だから、『売国奴』と名づけたのであろう。2015/10/18

ひねもすのたり

11
冷戦終結によりその役目を終えざるをえなかったスパイたちへの鎮魂歌、マクレディシリーズ二作目。 CIAロンドン支局に一本の電話が入る。相手はロシア人。KGB大佐を名乗り米国への亡命を希望する。大佐が亡命と引き換えに差出す持参金(機密情報)に歓喜するアメリカ。ロンドンをカゴ抜けされたことに不信感を抱くイギリス。そしてまたもう一人のロシア人・・。スパイ小説独特の緊張感も味わえますが、亡命の真偽に悩むCIA局員の懊悩を描くことで、二作目でもリアルなスパイの姿を浮き彫りにしています。このシリーズ当たり!★4.5 2020/07/11

bapaksejahtera

10
イギリスの秘密情報部で対外撹乱を任務とするマクレディは、ソ連の崩壊で用済みとなった機関の整理方針を受けて引退を勧告される。彼はこれを拒否。聴聞会の開催を要求する。小説の設定は英米の組織と個人のあり方から発想されているが、ここらへんの文化の違いが面白い。本作で開陳されるのは彼の功績のその2。時は遡る1986年。ゴルバチョフの登場と変化が明らかになって、KGBは自ら変質を図ろうとしていた時期(巻末解説による)。そうした中CIA撹乱を図ろうとするKGBの企みをマクレディが見事に防ぐというストーリーである。佳作。2021/04/09

J・P・フリーマン

10
イギリスとソ連の合同演習中に、将校としてもぐりこんだKGB大佐がアメリカへの亡命を希望する。大佐のもたらす情報にCIAは歓喜するが、独自の情報提供者を持つイギリスDDPSのマクレディはこの亡命に不審を抱く。KGB大佐を信用しきっているCIAの目を何とか覚まさせようと、静かな攻防が繰り広げられるストーリーです。複雑怪奇に思惑が絡み合ったスパイの世界は、コネクションがモノをいうことがよくわかります。2020/06/19

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