内容説明
日本中世史研究にはいま、「分裂のなかの統合」という熱い問いが存在する。80年代~90年代に人口に膾炙し、「列島の多様性」や「日本」について考え抜いた「知の巨人たち」が拓いたステージの「次」、いわば、新しい「ひとつの日本」研究である。本書ではこのふたつの視点をめぐる熱い議論を紹介しながら、「多様のなかで統一はいかに果たされていたか」を探っていく。この問題を見極めることは、世界でも日本でも分裂と統合が課題となっている現在を考えるための鍵を、見つけることにつながるだろう。
目次
日本史上もっとも複雑で曖昧だった中世と現在
1部 「場」「地域」からみる“いくつもの日本”(東と西―もっともポピュラーで根深い問題;南と北―よりいっそう豊穣で、ときにカオスな場所;内と外―時代によって揺れ動く「境界」の独自性)
2部 「人」「階層」からみる“いくつもの日本”(朝廷と幕府―二大勢力の関係性をめぐる激しい学説論争;寺社と宗教―現代とかけ離れた「もうひとつの勢力」の実態;生業と身分―非農業的世界から見えてくる豊かな日本史)
3部 多様な列島社会を「統合」するものは何か?(分裂と統合―両者の共存は可能なのか?;中央と地方―首都の求心力はどこにあるのか;天皇と将軍―戦国期にも存在しえた「創価」を探る)
歴史から学べることは何か
著者等紹介
谷口雄太[タニグチユウタ]
1984年、兵庫県生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。現在、東京大学大学院人文社会系研究科(文学部)研究員。立教大学、川村学園女子大学、白百合女子大学非常勤講師。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小鈴
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