感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
78
【刑事マルティン・ベック】シリーズ第7弾。〔再読〕病気入院中の警部が、惨殺される。ベックたちが捜査すると、警察権力にまみれた現代社会の問題警部であった事が判る。彼の取り巻きが警察内部に存在し、反対に市民の中には彼に恨みを持つ人々も居て、ベックたちの捜査は難航する。彼が権力を悪用した事は間違いないだろうが、家庭に戻れば普通の夫で父親だった事に、複雑な思いが強い。自分の正義を確信し、他人の正義に耳を傾けなければ、権力を持つ側は暴力を正当化していくのだろう。本シリーズは、今だに警察小説の最高峰のひとつだと思う。2021/03/01
巨峰
72
マルティン・ベック警部7作目。このシリーズの中でも傑作の部類だと思う。今迄で一番緊迫したんじゃないかな。読者的に、予想外のことが起こったらそら驚きますよ。ペック班は班というよりもそれぞれが自立的に動いて結果として班となっている。この作は本質的にはラーソンとコルベリがペックをも助ける大活躍だ。切れ鋭い結末は余韻とシリーズの続きへの期待を産む。マルティン・ペックシリーズ新訳の5作を読んだ人は、図書館で探してもいいから、続きの旧訳を読むべきです。絶対に。2019/03/28
飛鳥栄司@がんサバイバー
26
陰と陽。表と裏。捜査を進めていくと、被害者のニーマンには救いようのない闇ばかりが暴かれていくが、その半面私生活での光があまりにも反比例しすぎているせいで、余計に光が吸収されていく闇のインパクトが強い。唾棄すべきは、個人なのかそれを取り巻く人間を含めた組織なのか。クライマックスへ進む捜査も陰と陽の対比も面白い。犯人の実家でのベックが進めいてく「静」の捜査と、コルベリとラーソンが巻き込まれていく「動」の捜査。その見事な対比にベックを始めとしたレギュラーキャラクターが挑んでいく、シリーズ屈指の秀作である。2019/01/17
み
22
ベックさん〜、何と心配な終わりかた…。現役の警察官の生まれが、1930年代って、改めて(@_@)古さを感じないのが謎です。シリーズぼちぼち進めます。2021/06/19
きょちょ
16
学生時代、シリーズ最高傑作と思った。 今読み返してみると、少し迷う・・・。 それは、この作品は1970年代出版であり、その後出現する作家に多大な影響を与え、この作品以上に、政治や警察組織の腐敗や圧倒的バイオレンス小説が出回り、それを堪能し続けた私の「今」が迷わせるもの。 現代の警察小説を好んで読んでいる方々も、この作品には若干の不満があるかもしれない。 しかし、当時このような警察小説はあまりなかった。 日本では漫画の「ワイルド7」位だったかしら? 当時、特にラストは大いに興奮しました。 ★★★★★ 2016/05/27
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- 和書
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