角川文庫<br> 敵、ある愛の物語

角川文庫
敵、ある愛の物語

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 338p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784042464013
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

ナチスの大虐殺で妻子を失ったユダヤ人ハーマンは、かくまってくれたポーランドの田舎娘を第二の妻に迎え、アメリカに亡命。貧しいながらも平穏な生活を送っていた。が、彼は教養のない妻に満足せず、セクシーで情熱的な美女マーシャと熱愛関係におちている。そんな彼の前にアウシュヴィッツ収容所で子供と共に死んだはずの妻タマラが出現した。くしくも3人の女と重婚の罪を犯すことになったハーマンは愛の迷路をさまよいながら、決断と選択をせまられる。ノーベル文学賞受賞作家がユダヤ人亡命者社会という異常な状況の中で浮き彫りにする愛の煉獄。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まふ

108
米国のポーランド系イディッシュ文学初のノーベル賞受賞作。女性にモテて情にほだされやすいユダヤ人ハーマンはナチから逃れてニューヨークユダヤ人社会でお手伝いさん上がりの田舎女を妻とする。一方、美人のユダヤ女性マーシャと愛人関係を続ける。ところがポーランドで死んだはずの前妻のタマラが生きてハーマンの前に現れる。ハーマンは決然と関係整理を目指すわけでなくずるずると無為のまま破局に向かう…。ドタバタ喜劇的なのにホロコーストの重い経験が説得感をもたらす展開となった。G502/1000。2024/05/04

yokmin

7
ナチの大虐殺をかろうじて逃れてブルックリンにやってきたユダヤ人たち(アシュケナジム)のドタバタ劇ということで、題材が興味深い。映画化されており、脚本がしっかりしていて(ポール・マザースキーが脚色・監督)これも同様に興味深い。但し、このような本を書いてノーベル賞がもらえるのかという感じがしないでもない・・2014/11/02

刳森伸一

5
ナチスによる虐殺を逃れアメリカに渡ったハーマン。彼には妻と愛人がいて、そこに死んだと思ったいた元妻が現れる。一見すると、四人の複雑な愛憎を描くコメディタッチの物語なのだが、彼、彼女らの背後にはいつもホロコーストの影があり、それが物語に絶望や寂寥感を吹き込み、独特な重さを与えている。信仰を含む全てを奪い去られた後に、人は何ができるのか、それが問われているような気がした。2016/10/03

takeakisky

1
われわれはもう、生きてなどいないのだ シンガーの所謂一般向けの本を読むのは初めてだ。どこかコミカルで、徹底して破れかぶれで、底には虚無と絶望が見え隠れしながらも、能う限り今日ただいまの現実と向き合うユダヤ人たち。暗くなりすぎない語り口には救われるようだが、救われない。考える性質のハーマン。考え考えた末、辿り着いているのは無節操、無責任な現実。現実解決能力ほぼ皆無。無力感に慣れたほとんど無感覚の境地。根無草の頼りなさ。ダメ男ぶりに、どこか他人事とは思えない痛みを感じつつ、存外愉しく読む。2023/05/18

ぱらっぱ

1
作者のシンガーはポーランド生まれのユダヤ人作家。この作品はナチの迫害に遭いかろうじて生き延びた人々の対戦後のニューヨークでの話。 それにしても翻訳している人の日本語の能力の無さに悲しみを覚える。 著者に謝れ。2012/03/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/1192462
  • ご注意事項

最近チェックした商品