内容説明
ある夜、エディ・フランクスは悪夢にうなされた。競争。彼にとっては子供の頃からすべてが義兄ニッキー・スカーゴウとの競争だった。エディはリゾート開発を手掛けロンドンで敏腕のビジネス・エリートとして名をあげ、ニッキーはNYで弁護士となった。そして今、エディは初めて生涯のライバルであるニッキーの協力を得て、カリブ海のホテル開発に乗りだそうとしていた。二人は和解し、準備は順調であるかに見えた。が、競争に終止符をうつことを決意した夜、エディは、ニッキーからの狼狽しきった電話を受けた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
41
競争心。それはお互いの自尊心と克己心を育て、向上心を伸ばす。しかし行き過ぎてしまうと斯くも歪んだ大人になってしまうのだとこの作品は思い知らせてくれる。イタリア系移民の家族に育てられたユダヤ人エディ・フランクスとその家族の長男ニッキー・スカーゴウ。実の息子ニッキーと常に競わされ、比較されて育てられたエディは拭いきれない劣等感を抱え、いつか彼を見返してやるというのが彼の成功の原動力となった。この2人のある原初体験を物語の軸にしながら、イタリア人とユダヤ人という民族性に由来する性格の不一致が2人を苦難へと導く。2015/05/15