角川文庫<br> 一万一千本の鞭

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角川文庫
一万一千本の鞭

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

misui

8
アポリネールによる猥褻小説。ルーマニア人の好色な主人公が各地で狼藉を働きつつ日露戦争下の満州に流れていくという筋立てで、ハードな内容ながらもコミカルに描かれているために躁的な高揚感のある作品になっている。まあ、死姦しながら腸を引き出すとか、腰を振る度に串刺しになって死んでいくみたいなのは、さすが肉食ってる感性だなと思わないでもないが。タイトルの「一万一千本の鞭」は主人公が一万一千人の日本兵に鞭打たれて肉塊になる結末に由るが、「鞭は男根を暗示しているのでは」と解説されていて思わず遠い目をした。2016/05/01

あにこ

1
アラゴンの手による序文を読んだときには正直その意味不明さに閉口したが、本編は普通にごくごく分かりやすかった。筋書きについては、そもそも馬鹿話なので何にせよめくじら立てるべき部分はない。オチは少し面白かった。こういうふっ切れためちゃくちゃな話というのは、案外書き続けるのは難しかろう。山田風太郎に通じるすごみを感じる。2018/07/04

uburoi

0
性のメルヘンとかのんびりしたんもんじゃ無い。アポリネールによるスラップスティック・ポルノといったほうがすわりがいい。日本軍が実行する1万1千本の鞭によって肉片になるまで叩かれ(まるでガントレットだ)死んでいく1代の蕩児モニイ・ヴィべスクの痛快にしてアモラルな半生をうがいたものだ。読んだのは実はこの角川版じゃなくさらに完全版で改訳したロマン文庫版である。所有しておくならそっちだ。2016/09/04

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