内容説明
季節は巡り、少年と少女たちはまた少し大人になった。情熱を込めて取り組んだ新聞作り、魔女と呼ばれる女性との恐怖の一夜、お客を取り違えたおもてなし騒動などなど。プリンス・エドワード島の美しき思い出を胸に、今、彼らは別れと旅立ちの時を迎える。仄かな恋心や秘められた約束、そして周囲の大人たちのロマンチックな愛の物語をからめながら描く、虹のような声音をもつ少女、大人気ストーリー・ガール第2弾。
著者等紹介
モンゴメリ,ルーシー・モード[モンゴメリ,ルーシーモード][Montgomery,Lucy Maud]
1874年カナダ、プリンス・エドワード島生まれ。幼少時に母を亡くし、祖父母の手で育てられる。大学で文学を学んだ後、教師に。祖父が亡くなり、祖母と2人の生活を続けながら、1908年に最初の長編小説『赤毛のアン』を出版。世界的ベストセラーとなる。祖母の死後、長く婚約していた牧師と結婚。オンタリオ州に移り住み、その地で数々の作品を執筆した。英国王立芸術院会員、フランス芸術院会員、大英帝国勲位。42年トロントにて逝去
木村由利子[キムラユリコ]
大阪府生まれ。大阪外国語大学デンマーク語学科卒業。コペンハーゲンに留学。北欧児童文学・英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ユメ
44
美しいプリンス・エドワード島で黄金の道を歩む少年少女たちに、とうに大人になってしまった今でも憧憬を抱く。黄金の道を歩ける限られた時間は、モンゴメリの言う通り、永遠の財産となる。私はその時期をキング果樹園で過ごすことはできなかったが、己の道の傍らにモンゴメリの作品群があったことに深く感謝している。モンゴメリは本当に、少年少女が道の曲がり角に差しかかる瞬間を捉えるのがうまい。しかし、彼女はこの作品で、黄金の道が去ったあとの人生も捨てたものではないということも描いている。脇役の大人たちのなんと魅力的なことか。2018/11/07
珂音
13
テレビもゲームもなかった時代に子供たちはこんな風に遊んでたのねとほのぼのする1冊。プリンス・エドワード島の四季と子供達の生活と2つのロマンスが活き活きと描かれている。特にぶきっちょさんとミス・リードのロマンスが素敵。2010/12/09
小瑠璃
9
モンゴメリの作品は、一見夢いっぱいに見えて、逆境に生きる人物が多い。孤児だったり、片親がいなかったり、オールドミス(現代ならともかく執筆された当初はかなりの逆境)だったりといった人物がたくさん登場する。それでも、物語が陰鬱なものにならないのは、そんな登場人物たちや、まわりの誰かが、そういったことに、めげず、折れず、真摯に進んでいくから。赤毛のアンは言わずもがな、『エミリー』シリーズのペリーなど、不屈の彼らが、大好きです。その点で、この作品で惹かれたのはピーターでした。幸せになってくれそうでよかった。2011/01/05
ryuetto
6
「ストーリー・ガール」続編。と言うより、2冊で1つの物語だったみたいですね。少年少女の楽しい日々が、いつか終わりを告げて、みんなが別れ別れになっていく。みたいな感じで。ひとときの楽しい時間をありがとう。という感じで、よかったです。あるいは、これはベバリー自身の大切な思い出だったのかも知れないなあ、と思いました。2011/01/12
tejijiji
5
続編となる今回は、キング農園で、また多くの忘れ得ぬ出来事が起きる。 オリビアおばの結婚やぶきっちょさんの結婚。愛猫パーディをめぐる魔女の骨や、死。それぞれの旅立ち。 何よりも、ベブとストーリーガールが真夜中に学校へ戻る、星屑の世界は一番素敵な描写として心に残った。 小さい頃、何よりも大切な人との別れが、一番心を成長させてくれたものかもしれないと、自身の幼き頃を思い出した。 誰にでもある、幼い頃の大切な思い出。それをたどる「黄金の道」 モンゴメリにしか書けない、純粋な物語に感謝です!2012/05/06