内容説明
ハック・フィンにとって大切なもの―勇気、冒険、そして、自由。窮屈な生活から抜け出すために、ハックは黒人ジムを相棒に、ミシシッピ川を下る逃亡計画をはかる。途中で出会う人人は、人種も生活も考えもバラバラ。何度も危険にさらされながら、他人の親切に助けられて…ふたりが手にした、本当の自由と幸せとは?アメリカの精神を生き生きと描いたトウェインの最高傑作を、最新の翻訳で贈る決定版。
著者等紹介
トウェイン,マーク[トウェイン,マーク][Twain,Mark]
1835年、アメリカ・ミズーリ州の小村フロリダで、開拓者の第6子として生まれる。植字工、水先案内、鉱山探鉱、新聞記者などの職を転々とし、1865年『ジム・スマイリーと彼の跳ね蛙』を発表、ユーモア作家として一躍脚光を浴びる。以後、作家・講演者として幅広く活躍。『トム・ソーヤーの冒険』『ハックルベリ・フィンの冒険』をはじめ、『アーサー王宮廷のコネティカット・ヤンキー』『不思議な少年第44号』『人間とは何か』など様々な少説・エッセイを執筆。アメリカ文学の先駆者として、世界中にその名を馳せた。1910年、狭心症のため74歳で死去
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
50
『トム・ソーヤの冒険』が腕白少年が家の近所で繰り広げた冒険物語なのに対し、この作品では、ハックの行動範囲は格段に広がり、人種差別や人身売買といったかなり重い内容が描かれ、完全に大人の読み物となっている。生来の浮浪児でいろんなしがらみから抜け出して自由になりたいハックが、逃亡奴隷のジムをかくまおうと「地獄へ行く」決意をした強さは、残念ながらトムにはないと思う。それほど、ハックの自由への思いは強いということだ。二つの作品は、ちゃんとした家の子であるトムと、根無し草ハックの差を歴然と示している。2015/11/30
優希
47
勇気・冒険・自由で満ちあふれ、好奇心が揺さぶられました。窮屈な生活から逃れるようにハックルベリの冒険が始まるのだと思います。危険に晒されながらも助けられ、手にしたのは真実の自由と幸せだったに違いありません。アメリカの精神がここには詰まっているのですね。2023/10/20
昭和っ子
25
「今日のアメリカ文学は『ハック・フィン』から生まれた」と言われているとか。私は、孤児のハックと逃亡黒人のジムが、筏でミシシッピ川を下りながら遭遇する話の中に、スティーヴン・キングの小説が思い出された。「樽」の話はキング本来のホラー風。トム演出の脱獄劇にも、キングの「ミザリー」や「グリーン・マイル」などの監獄物の断片を感じた。冗長だともされるその脱獄劇は、アメリカ人の、ヨーロッパのゴシック話に憧れる頭でっかちの読書を揶揄した物ではないか?現代のアメリカにそのゴシック話を蘇らせた事にトウェインは怒るかも?2014/01/14
バズリクソンズ
24
数ある冒険譚の中では間違いなく世界的代表作!この角川文庫版は大久保博訳で633ページあるが、最初から最後までどの場面もハックの一人称の語りはユーモアと適度な緊張感とその場を切り抜けるために考え出される巧みな嘘で読み手の心をグッと掴む。この限られた字数で全て感じた事を上げ切れないが、後半に向かう所で真打ちトムソーヤの登場でまた更に物語に厚みが出て来る!統括として黒人奴隷のジムを登場させて、ハックは一緒に冒険しながら逃亡、解放の意味合いを持たせているが、あくまでジムを同等の友人の位置に置くのはさすがトウェイン2022/10/23
秋 眉雄
21
「よし、それなら、オレは地獄に行こう」あれは中1の夏休み、読書感想文に選んだのは『トムソーヤーの冒険』でした。テキトーに斜め読みし、テキトーに書いた読書感想文でしたが、その〆にはキッパリこう書きました。「次はハックルベリー・フィンを読もうと思います!」。あれからどのくらいの年月が過ぎてしまったのかと指折り数えてみると、ざっくり40年という恐ろしい事実。しかしまあ、あの頃に読んでも、この本の持つ奥深さは当時の僕にはサッパリだったろうなと。千葉先生(当時の担任)、読みましたよ!お元気ですか?2018/08/26