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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
13
現実から遠ざかる手段として十九世紀の文人たちを魅了した酒、ハッシシ、阿片・・・。象徴派の巨人が神をも恐れぬ陶酔と覚醒のなかで、その効果と害毒を冷徹に見つめる。禁断の麻薬白書。「普通に考えてみましても、この地上の物象の存在は、極めて薄弱なものであり、真の現実は夢幻のなかにのみあるのです」(42頁)2014/03/19
garnet_05
2
酒と阿片とアシーシュについて。「個性を倍化する手段たる酒とアシーシュとの比較」「人工楽園―阿片とアシーシュ―」「アシーシュの詩」「阿片吸飲者」「補遺」の5篇を収録。「胡桃くらいの大きさの分量のアシーシュを取って小さな匙に容れれば、諸君は幸福を所有することになるのだ。絶対的な幸福であり、それには、あらゆる陶酔と、その一切の若々しい狂乱と、またその無限の法悦とが具っている。」2013/10/27
tekesuta
2
意外に道徳的な結論。ボードレールとしてはドラッグによる幻想はまがい物という考えがあったのだろうと思う。解説にも書いてあったがそれは芸術家としての矜持なんだろうな。2011/09/20
明神ちさと
1
『幸福を識るためには、それを嚥下する勇気を持たねばならない』。現在では喫うイメージが強いハシシやアヘンだが、液状や丸薬状のを飲む用法もあったのね。ってか、身体に取り込む方法としてはまずそっちが先になるのは道理か。某薬草をピッツアにまぶして食べたあの夜の掌の残像現象がフラッシュバックするようなしないようなモニョモニョ……。2025/08/22
寛理
1
麻薬礼賛の本かと思ったら、そうでもなく、麻薬の効能は個性の倍化でしかないので、芸術家の素質がないと大した幻覚は見えないと言っている。また麻薬に頼るブルジョアを批判し、意志の力を称揚する。要するに理想の芸術家像を語っている自画自賛本ではないか。後半は、ドクインシーの要約で、退屈感があった。2020/11/16