角川文庫<br> 純愛 - ウジェニー・グランデ

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角川文庫
純愛 - ウジェニー・グランデ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 283p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784042006022
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

325
タイトルは『純愛―ウジェニー・グランデ』だが、本書の真の主人公はウジェニーではなくて、葡萄造りを称するグランデ老人ではあるまいか。純愛の物語として読むには、ウジェニーはあまりにも自己完結的に過ぎるからだ。本書は1833年の作品だが、吝嗇で金がすべてといったグランデに体現される資本家像といったものは、今世紀のそれと本質を同じくする。そうしてみると、バルザックは今日の姿を予見していたと言えなくもない。資本の論理という点では19世紀以来の宿痾を我々は背負っているのである。バルザックが今日的意味を持つはずである。2016/11/08

ケイ

115
グランデ氏が妻の財産を奪うように自分のものとしているのは許せないが、シャルルが腹立たしくてならない。恥を知れと言いたいが、彼の国の男はなんと女々しく厚かましいことだろう。自分の持っている財産もよくわからずに、ケチケチと暮らす親戚を馬鹿にするとは…。しかし、一番愚かなのは、ウジェニーだ。いくら施しをしても、人を見る目は育たないと思う。2016/07/23

NAO

57
自分だけのものとして愛し、独占していた財産が妻の死とともに自分のものではなく娘のものとなってしまうことを知った時のグランデの驚愕・失望・嫉妬。本当はそういうことを知っていたはずなのにそれさえ見えなくなってしまう金への執着心は、驚くべきものだ。グランデ、ボンフォン所長、シャルルと金に惑わされる男たちと、純愛の女ウージェニー。自分の純愛にしがみつくあまり、とんでもない条件を出したウージェニーのボンフォン所長への非情さは、金にしがみつくあまり妻子に非情だったグランデと同じだとバルザックは言いたいのだろうか。2016/11/24

のっち♬

50
老人の偏執的吝嗇、その娘の従兄に対する純愛が主軸となる。「何らかの無知にもとづかない様な幸福などひとつもない」「社会に生きる人間の、どんな欲望が金銭抜きにして解決されるだろうか」登場人物も少なくストーリーはシンプルなものだが、法律、政治、風俗などどんな些事にも絡む金銭の問題やそれに伴う人間心理が執拗かつ写実的に描かれており、老人をはじめ登場人物の金銭に対する執着心は凄まじい。現代人の生きる条件はかくも恐ろしいのである。「この世にありながらこの世に属さぬ女」になったヒロインは、美しく静かな諦念が漂っている。2018/06/29

しあん

30
ウジェニーはあまりに物を知らないし、父親のグランデじいさんは異常にケチだし、母親は宗教にハマってるし、召使いのナノンも変わってるしで、全員キャラクターがしっかりしていて、面白かったです。特段めくるめくようなストーリーでもないのに。グランデじいさんの妻子へのやり方はモラハラだよなあと思う。あといとこのシャルルが本当にクソ野郎で、ウジェニーやグランデを田舎の貧乏人だと内心バカにしていて、最後にウジェニーが大金持ちだと知り驚愕するシーンは溜飲が下がる思いでした。2020/11/11

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