内容説明
近江の町はずれで、黙々と刀剣の鞘づくりに打ち込む若き見習い職人・平河友威と、彼を見守り、その運命を導びき続ける一匹の赤い蜘蛛。両者の間に秘められた、妖しく摩訶不思議な出逢いとは。(表題作)夢幻、霊魂、死、エロス…魔性の世界を耽美色豊かに描き上げた、赤江美学の集大成。単行本未収録の秀作も収めた、自選恐怖小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
74
自選短編10作品で良かったのは、どちらもエロスと幻想色の強い表題作と『池』の二作品。忘れ去れつつある人の一人かもしれないが、こだわりの言葉(舞台とするのも多いので京都弁が多い)と幻想で強い印象を残す作家であることに間違いはない。2020/07/26
じゅんぢ
34
ホラーというより幻想物。自選小説は作者本人がどのような思いで選んだか解説を掲載してほしい。2019/06/19
ヒロくま
23
気になっていた赤江瀑作品。初読みは自選恐怖小説集。妖しく怪しく幻想的なお話しが多かった。悪夢まではどうかと思うけど、良くない夢にうっすら誘い込まれた感じがしました。2018/02/13
simasima
12
十数年ぶりの再読ですが幻想とエロスが咲き乱れる「春の寵児」はすごい。それこそ1枚の絵のように情景をしっかり憶えていました。ということで、恐怖小説というより妖しい幻想小説といった趣きの10編を収録。最初の2編は期待が大きすぎたせいかやや凡庸な印象を受けましたが、その後は赤江瀑らしい淫蕩な世界がチラリ、日本の伝統がジワリ、怪異がフワリ。読後はなんだか変な夢を見ていたような軽い脱力感に襲われつつ、やっぱり「春の寵児」の情景が色濃く脳裏に焼きついて他作品の余韻を吹き飛ばしてる〜!解説皆川博子、なるほど頷ける。2014/07/04
みみずく
12
自選恐怖小説集。夢や幻、霊魂、死、エロス…ゾクっとさせられて最後はいろんな香りを残していく…そんな作品集。恐怖、欲望、水辺には切っても切れない関係があるのかしら?なんて思った。昨今の、「不思議なことがあったけれど実はこういう原因だった」というオチまでついている物語に慣れてしまった私にはその「恐怖小説」の鑑賞の仕方がイマイチ身についていないのが残念。これからその辺りの読書の筋肉を鍛えていきたいな。2014/01/05
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