出版社内容情報
山本 文緒[ヤマモト フミオ]
著・文・その他
角川書店装丁室[カドカワショテンソウテイシツ]
著・文・その他
内容説明
もう神様にお願いするのはやめよう。―どうか、どうか、私。これから先の人生、他人を愛しすぎないように。他人を愛するぐらいなら、自分自身を愛するように。哀しい祈りを貫きとおそうとする水無月。彼女の堅く閉ざされた心に、小説家創路は強引に踏み込んできた。人を愛することがなければこれほど苦しむ事もなかったのに。世界の一部にすぎないはずの恋が私のすべてをしばりつけるのはどうしてなんだろう。吉川英治文学新人賞を受賞した恋愛小説の最高傑作。
著者等紹介
山本文緒[ヤマモトフミオ]
1962年神奈川県生まれ。OL生活を経て、人間関係の繊細なずれから生じる喪失、慈しみをテーマに作家活動を続け、現在に至る。『恋愛中毒』で第二十回吉川英治文学新人賞を、『プラナリア』で第一二四回直木賞を受賞した
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
388
『これは本当に私の望んだことなのだろうか』。そんな言葉の先に主人公・水無月の深い苦悩を見るこの作品には「恋愛中毒」という書名を体現する水無月の劇的な人生が描かれていました。1999年に吉川英治文学新人賞を受賞した作品であり、2021年10月に亡くなられた山本史緒さんの代表作に位置付けられるこの作品。山本さんの構成の上手さでぐいぐい読ませる物語の中に『恋愛』という言葉が恐怖を感じさせるようにもなるまさかの読後が待つこの作品。「恋愛中毒」という不思議な言葉の行き着く先に、まさに『恋愛』の狂気を見る物語でした。2024/03/10
ミカママ
354
これはっ!ものすごい恋愛小説を読んでしまった。うんうん、わかるよ、そうなんだよねぇ、と主人公に寄り添いながら。恋愛相手の「娘」に嫉妬してしまったり、そうそう息子じゃない、娘なんだよ!とか( ´艸`)私自身は、幸い恋愛相手をストーキングしたことはないですが(当たり前か?笑)でも、ひとつ間違ってたら、そうなっちゃってたかも、という素質は、恋愛中のきっと誰にでもあるわけで。いやー、朝っぱらからずんっと重い恋愛小説、堪能しました。山本さん、さすがだなぁ。2016/02/23
青乃108号
330
冒頭、新入社員から訊かれて話し始めた女性事務員。以下400ページ分の分量の、長い長いそれは彼女の話。一体何時間彼女は話していたのか。400ページ分を微に入り細に入り全て話して聞かせたとは現実的には考えにくいし、いくら何でも聞く方は途中で飽きるだろう、読んでいてもダラダラとメリハリのない彼女の恋愛事情は。実際には要約して話したに違いない、だとしたら俺の今まで読まされてた物語は彼女が語る時に彼女の脳内で再生された記憶で補完されていたのだなあ、きっと。それにしてもこれが恋愛小説の最高峰とは。ちょっと思えんなあ。2025/09/07
mae.dat
284
なにこのネットリした感触は。儂、単純おじさん故に、女性特有の機微は分からんよ。それでもハッキリとした快でも不快でも無いけれども、ズーンと覆い被さる様な異物を感じるよ。水無月さんは、初めは普通のおばさんと言うか、愛だの恋だのは卒業済みに思わせたのにね。段々とおかしいぞってなって行き、最後の方は怖ろしくもなって行ってね。何よこれっ。ここの話に出て来る人達は、何処か拗らせている人達でね。創路さんか。愛のままに我儘にな方でね。計算じゃ無い、本能的になんでしょうね、懐中に入るのが上手いのよ。ぃゃぁ中毒は怖くて。2025/03/12
hit4papa
268
妙齢の女性がはまり込んでしまった恋愛事情を描いた作品です。タイトルからは、次々と男性遍歴を重ねるような印象を受けますが、さにあらず。たった一人の男に、どっぷりと浸かった女性が主人公です。自己顕示欲が強く、自己中心的な男に魅入られてしまった主人公。妻や愛人たちの存在に感情は沸騰していきます。病んでいると言ってもよい恋愛の底辺感が、不快ぎりぎりの土俵際まできてしまいました。ただ、場面転換が多く、てんこ盛り感が否めません。帯にあるような、”衝撃”といった煽り文が適切かというと、どうかなぁ・・・2019/12/16
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