内容説明
芸大声楽科を卒業した美貌の人妻。理解ある夫、素敵な恋人、可愛い小供。すべてに恵まれた女性ベストセラー作家・夏木柚香が急逝した。だが、「私の作品は、五年しかもたない」という言葉を遺した彼女が美しい仮面の下に抱いていたのは―。彼女の評伝を書くことになった女性ライター、小山田万智子が柚香の本当の姿を抉り出す。女の心の闇底に潜む真実に迫る衝撃作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
321
          
            美貌の女性作家、夏木柚香。彼女は人気絶頂のベストセラー作家であるばかりか、家庭にも恵まれ富と名声を欲しいままにしていた。これが第1の神話である。ここから、しだいに彼女の実相が明らかになってゆき、究極は第4の神話に結実する物語。彼女を小説の軸にしながら、さらに2つのディメンションが描かれる。それを書く売れないライターの万智子と、出版会の実情がそれである。終盤では、これに新たに芸術までが付与されてゆくといった念の入った重層性である。そして終章で、この小説の通俗的なありきたり感を一気に昇華させる手腕は見事。2017/12/15
          
        James Hayashi
30
          
            タイトルから隠された秘密がどんどん暴露されていくと思ったが、意外な展開にのめり込んだ。作家やライター、芸術家たちと異色でありちょっと手に届かない高貴な芸術を感じさせながら、亡くなった人気美人作家の隠されていた素顔を追っていく様子はメリハリがあっていいと思う。しかし後半は能がメインの話題になりシラけてしまった。筆者の力量は充分に感じたが、後味はあまり良くない。2017/03/23
          
        barabara
14
          
            美貌の流行作家。リアルでは誰だろう?そんな事を思いながら読破。誰でも第二の仮面位あるだろうが、第四面までとは!一面ずつ剥がされていく度に、発見するもの、覆い隠していた心情が露わになり、本人の空虚さがどんどん虚しく広がって行くのが悲しかった。2012/09/27
          
        tama
12
          
            図書館本 友人が読んでた&篠田シリーズ 面白かった~ 主人公(フリーライター)のような知性と素晴らしい感性を持ちたいものです。一瞬でアレとコレが結びついたら!と感じ取れちゃう。すげーわ。一方、男の方はいつも通りのアレですが、これ筒井作品のように男二人(アイツとアイツね)の独白を数ページに渡って書き連ねて行ったらもっといやらしくネチョネチョと気が狂ってきただろうに。実にもったいない。篠田作品は女性目線のが明らかにイキイキしてますね。この作品はその点でオッケ~ 女性全員の描き方もいいね!過不足なしきっちり。2016/02/13
          
        雨猫
12
          
            美人作家夏木柚香が亡くなって5年。ライターの万智子は柚香の評伝を書くことになったのだが、柚香は華やかな表の顔の裏に修羅の顔を持っていた。柚香についてはあまり興味が持てなかった。女の業とかそういうものを描いているが、敢えてそう書かれてるのだろうが女性からは共感を得にくいと思う。万智子は良かった。フリーライターの根無し草のような辛さ、親との関わり、女性がそんな業界で1人で生きていくのは大変だ。☆3.52014/05/21
          
        


 
               
               
              


