内容説明
関東大震災の復興に必要な巨額な資金を、日本はウォール街・モルガン商会の協力で調達した。以降急速な近代化を実現していったが、実に国家予算の六割を超える対日融資をモルガン商会の手で受けていた。昭和初期、再び金本位制をとることが不可欠だとするウォール街の強い要請に導かれて、日本は金解禁を実施する。しかし、アメリカの株価の大暴落に引続く大恐慌。全てのシナリオは無効となった。
目次
1 日本の決断
2 日本への圧力
3 金解禁に向けて
4 バラ色の日々
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
日の光と暁の藍
4
第一次世界大戦により、世界は金本位制を一時廃止していた。日本が金本位制復帰するにあたり、重要な働きをしたのが、モルガン商会のパートナーであるトーマス・ラモントである。大震災からの復興予算の資金を調達するために、日本は彼に協力を求めた。井上準之助とラモントの間には信頼関係があった。当時の日本にとって、ラモントがどれほどの重要人物だったかは、天皇陛下に拝謁したことからも分かる。レコードが政治宣伝の武器であったことや、大震災以降に日本に投資されたアメリカ資金の大半が電力会社に向けられていたことは知らなかった。2020/08/23
unflyable
0
1930年の金解禁はどのようなプロセスで実施されたかを追った本。関東大震災をきっかけにウォール街との繋がりを深め、その後ろ盾を元に着々と手を進めていく過程はなかなか面白かった。財政健全化と国内経済強化を目指し、万全の準備を整えて実施した金解禁だったが、世界恐慌の予想以上の悪化と金本位制の欠陥を前に脆くも崩れてしまい、それを推し進めた浜口首相と井上大臣もその混乱の中で斃れてしまう。なんだかすごく皮肉な結末だった。2017/08/24
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