内容説明
大手綜合商社山紅の専務取締役である井関は、航空機疑惑の渦中で国会証人喚問の席に立たされていた。厳しい糾弾の言葉を浴びながら、ふと去来する幼年時代からの自分の半生…。和歌山の貧しい農家から京都の呉服店に養子に入り、以降明晰な頭脳と努力で、最高学府を経て商社マンとして順調な出世を続けてきた。その営為が、いま無に帰そうとしている。企業小説の第一人者が、歴史に残る事件に巻き込まれた一人の男の栄光と挫折を描く傑作。
感想・レビュー
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Sanae
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まだ自分が生まれる前、かの有名なロッキード事件に関わった商社マンの生い立ちから商社での華麗な出世を描く企業小説で、かなり面白かったです。事件そのものではなく、1人の優秀な商社マンの一生にスポットが当てられていて、実際のロッキード事件では有罪になっているけどついつい同情してしまうような人物設定でした。うっすらした知識しかなかったので、wikipediaで調べたりと、企業小説は時事に興味が持てて面白いなと思いました。2013/03/02
トム
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国会中継を観てたことを思い出す。商社に対してよくないイメージしか覚えていない。だけど、現実にその一員になった時、イメージは変わっていた。時代だなあって、今更ながらに思う。世の中が変化して、良いことと悪いことの基準が変わり、情勢が変化し、大きく変化しても、商社の存在は必要で、目に見えない社会の仕組みにしっかり組み込まれ、生活になくてはならない組織。でも、政治が絡むとお金に結びつく。これは今でも変わらない。人は権力と、お金を切り離せないと思い込んでるのか、欲と本能は表裏一体なのか2023/05/31