内容説明
亜紀子はある日、見知らぬ女性の訪問を受けた。最後の記憶は、訪問者を玄関に請じ入れたこと。だが、次に気付いたとき、亜紀子は血のついた野球のバットを握り、床に倒れた“自分自身”を見下ろしていた!加害者の姿になって行き場を失った亜紀子は、その女性の持ち物から調べた住所へ、やむなく足を運ぶ。なぜ“私”は彼女に殺されなくてはならなかったのか?対照的な2人の女性の人生が交錯する、サスペンスミステリ。
著者等紹介
新津きよみ[ニイツキヨミ]
1957年、長野県生まれ。青山学院大学卒。旅行会社、商社のOLを経て、88年に作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワレモコウ
50
ある日亜紀子は、知らない女性の訪問を受けるが、次に気がつくと血を流して倒れている自分が居た。そして、鏡には見知らぬ顔の女が居た。どうやら自分は野田光代という女性の中に入ってしまったらしい。真実を探るために、必死に光代としての生活を送るが…。500ページという長さを感じさせなかったが、亜紀子と光代の共通点を見つけていくうちに、どんどん話が膨らみ、尻切れトンボのラストに感じてしまった。途中までは面白かったです。2023/03/13
キムチ
48
軽やか、読み易い文体と展開、あっという間に読める。新津さんの構想力の豊かさに愕くと同時に、広げた風呂敷を上手く包み直せなく終えた馬鹿々々しさを感じて コミック的な終焉。5割過ぎまでは生活描写、人間観察細やかで面白い、でも入れ替わる女性の、ヒロインの実家、祖父と登場人物がどんどん詰め込まれていくと 放埓すら感じて~~。時折 この手の作家によくある理屈抜きでの逃走 深い「骨組みへの考察」をせず、雰囲気で広がって行った・・小話的ミステリーだった。2022/09/02
ジンベエ親分
33
ふらりと立ち寄ったブックオフで見つけ、帰ってから一気に読了。気が付けば血が着いたバットを持って、倒れて動かない「自分」を見下ろしていた、という場面から始まるストーリー。精神が"入れ替わった"相手の素性を探り、その自宅で本人のふりをして生活しながら、謎を解こうと苦慮する。このあたり、柿谷美雨の「夫のカノジョ」をふと思い出すような流れ。が、まったく接点がなかったと思われた2人の関係が少しずつ見えてくると俄然面白くなる。長い話だが最後までダレずに読ませてくれた。達彦の婚約者、萌子など、脇役の印象も強く楽しめた。2018/01/13
coco夏ko10角
31
最後の記憶は家に人が来たところ、次に気づいたときはその訪問者の体で血のついたバットを握っていてそばには倒れている自分が。入れ替わったあとの生活の大変さやドタバタ。そして予想以上に早く元に戻ったけどその後明らかになっていくこと…。終盤はちょっと「それでいいのかな?」みたいなところもあるけど、全体的に面白かった。元・芸能人で現・探偵の人って他でも見たけど、いくつかに登場してるのかな。2019/09/08
mayu
22
初読み作家さん。見知らぬ女性が訪ねて来た後、目が覚めて飛び込んで来たのは血を流して倒れる自分の姿だった…。見知らぬ女、野田光代と入れ替わってしまった亜紀子は自分と女の接点を探る。光代は子供を持つ四十代専業主婦であり、亜紀子はビール会社に務め日本酒好きの三十代のバツイチと何の接点も無い二人。光代の中に入ってしまった亜紀子の意志の強い奔放な行動にハラハラさせられる。謎が所々見えてきてからは一気読みだった。最後はなんだかモヤッと感が残り、リアルさが薄れてしまって少し残念だった。2023/02/07