内容説明
5年前、組の幹部を殺害して大阪を後にした橋爪優作は、北陸の海辺の町で所帯を持ち、一見かたぎのような生活を送っていた。だが、その裏では元タンカー乗りの老人と手を組み、“表沙汰にできない金”を強奪するという裏仕事に手を染めていた。冬のある日、京都のお茶屋で闇献金を奪取した優作は、旧知の女実業家に現場を押さえられ、ありがたくない仕事を押しつけられる。ある業者から広域暴力団、共和会に渡る3億円の横取りだ。やむなく女の言い分を受け入れた優作は、因縁の男たちと対峙することになるが…。傑作ロマン・ノワール。
著者等紹介
香納諒一[カノウリョウイチ]
1963年、横浜生まれ。早稲田大学第一文学部卒。91年「ハミングで二番まで」で小説推理新人賞受賞。92年『時よ夜の海に瞑れ』(文庫版『夜の海に瞑れ』)で長編デビュー。99年『幻の女』で日本推理作家協会賞受賞
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感想・レビュー
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GAKU
35
1996年の作品。5年前に同じ組の幹部を殺害し大阪を後にした橋爪。一見カタギのような生活を送っているが、その裏では元タンカー乗りの老人万田と表沙汰に出来ない金を強奪するという裏仕事に手を染めている。あることをきっかけに業者から広域暴力団共和会に渡る3億円を横取りするというありがたくない仕事を押し付けられる。共和会、旧知のヤクザと対峙するクライマックスは圧巻。香納諒一お得意のハードボイルド、ノワール、クライムノベルがぎゅっと詰まった濃い作品を思う存分堪能しました。こういう小説私大好物です。⇒2024/08/23
ゆずぴ
1
死んだね~ってぐらいに死んだな。なんか誰も幸せになってないのでちょっと寂しい感じの終わりだというか。二人の今後には少しの明るさもないし。息子とかどうなるのかなとか色々気になる終わり。どう転んでもうまくいかない感じが。でも面白かったかな。だれずに最後まで読めた。少し視点の切替が分かりにくいのが残念。2013/11/12
Kamabonz
1
男のニヒリズムと言うべきなんでしょうか。 そんなにかっこ良く生きられませんし強くもありませんよね、普通の人間は。 小説だからこそ味わえる純愛であったり、筋を通す律儀さであったりするのですが、私はこういう物語は結構好きです。 伏線なのかなんだか判らない箇所が結構あるのですが、その辺りがB級映画っぽくて良かったです。2013/08/20
ゆーぼー
1
初めての香納諒一作品だ。暴力団と警察の攻防劇だと思って読み始めたが、元暴力団員と暴力団の死闘ストーリーだった。読み始めて直ぐに感じたのだが、状況描写が冗長すぎるのだ。それで読むテンポが乱されてしまい、読むのが少々苦痛になった。簡潔な状況描写にすれば、ページ数が2/3位になり、スピード感も出たと思うのだ。一般社会との境があまりはっきりしなくなった現代の暴力団の実態を知る上では、面白かったと言える。2013/02/17
tai65
0
星4つ2013/10/18