内容説明
会津藩初代藩主の保科正之は、徳川三代将軍家光の異母弟にあたり、幕藩体制確立期に将軍を見事に補佐した名君として知られる。正之は保科家の秋霜烈日の家風を伝えながらも、あたたかく清廉な人柄で人望を集め、会津の士風の基礎を築いた。会津をテーマに、歴史の陰に葬られた人々の姿を丹念に描いてきた著者が、会津藩草創期に起きた数々の、難事件を解決した正之の、温情にあふれた名裁きや人となりを余すところなく語る連作時代小説。正之に仕える十六歳の少年武士が、悪行を重ねる厩司夏目伊織を懲らしめる「夏目伊織の門人」をはじめ、五話を収録。
感想・レビュー
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Gotoran
17
会津史に心酔する著者が、会津藩初代藩主にして初期の徳川幕府を支えた宰相、保科肥後守(正之)の名裁きと人となりを遺憾なく引き出した5つの作品。正之に仕えた人々が遭遇した事件とそれに対する対応(保科家家訓「秋霜烈日」を引き継ぐ裁きや慈愛の心で人情味溢れる沙汰)で、その名君ぶりが伝わってきた。個人的には、丹頂鶴の飼育をする鳥方の小者父子を襲った突然の事件とその顛末が描かれた「馬之助奇譚」が哀愁漂い、印象深かった。次は、続編の『保科肥後守お袖帖』を読んでみたい。2013/09/15
朱音
0
保科肥後守とは、三代将軍徳川家光の異母弟、保科正之のこと。会津藩の初代藩主で、なかなか名君だったらしい。この本はその保科正之のことを描いた…と言っても本人の武勇とかそういうのではないのだけれど、その人となりを表したというような短編集。なかなか面白かった。2003/03/18
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