内容説明
死人のように青ざめた顔をした、その歴史ある街は、その日、死装束のような濃い霧に包まれていた―表題作の「閉じ箱」をはじめ、プロ作家としてデビュー後、初の短編である「陥穽」、不思議な少年の世界を描いた「けむりは血の色」、代表作の「恐怖」、その他、「実験」、「跫音」、「闇に用いる力学」、「仮面たち、踊れ」など、以前に同人誌に発表されたものから、異色の話題作まで、十五年に及ぶ著者の執筆活動の短編における全仕事を集成した初めてのホラー・ミステリー集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たかなし
25
短編集。竹本さんは初めて。どれも幻想的というか非日常というかそんな雰囲気な短編が沢山あります。まぁまぁ。お気に入りは「恐怖」。2018/08/04
hirayama46
4
竹本健治のノンシリーズ短編集。サイコホラー的、内向的な作品が多く、分量も多いため一気に読むとちとくたびれますが、どの短編も濃密な狂気が込められています。タイトル通りの閉塞感が味わえる一冊でした。2019/11/27
medaka
4
この感じは何でしょう。頭の中を揺さぶられているような、この独特さは初めてです。正直微妙かな?…と読み進めていきましたが【恐怖】で一変!!本気でゾクッと来ました。コレだけでもいいので、是非読んで頂きたい。重過ぎる話が大半+パターンが似通っている作品もいくつかあるので、一気に読むのはあまりお勧めしません。それにしても各タイトルが素敵過ぎです。無駄に呟きたくなります。個人的にはどの短編も印象に残る、珍しい一冊となりました。2009/07/02
りゅりゅ
3
「陥穽」「恐怖」のオチが好き。一番楽しく読めたのは最後の「仮面たち、踊れ」。ほかは茫漠として霧の中を歩かされているような雰囲気の話ばかりだったけれど、これだけは事象がはっきりしていて起承転結のわかりやすい話だったから。2019/04/22
ネムル
1
手掛かりと雰囲気がいい感じにマッチした「緑の誘い」「けむりは血の色」なんか素敵だが、ベストは「恐怖」。恐怖のかたちを逆説的に描いてみせる曲者っぷりが、恐怖小説として新鮮。2012/06/26