出版社内容情報
恋、性、老い、そして死・・・・・・人生の大きな流れのなかで惑う六つの魂を描いた、著者初の本格短編小説集。
内容説明
五十五歳の誕生日を迎えて間もなく、野末稔は『毎朝タイムス』の印刷現場セクションから、子会社の『毎朝文化セミナー』へ出向を命じられた。稔は一日も休むことなく、新しい職場に通っていたが、二週間を過ぎた頃から、ひどくみじめな思いに悩むことがふえていた。具体的な原因は何もなかったが、以前のような「俺は必要とされている人間」だという昂揚感がどうしても持てなくなっていたのだ…。(「必要のない人」)恋、性、老い、そして死…。人生の大きな流れのなかで、揺れ、惑う、男と女を描く、著者初の本格短編小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちさと
27
6人の多様な心の揺らぎを抱える「人」が登場する短編集。脚本家だけあって情景がありありと浮かぶし、分かる分かると共感できるものばかり。表題作「必要のない人」。以前のような自分は必要とされている人間だという昂揚感が持てなくなった中年男とその妻の物語。相手の境遇と気持ちを理解しなければという理性はあるんだけど、感情が先立って言わなくても良いことを言ってしまう。あるある身に覚えがある。押し付けがましくなく、それでいて考えさせられる作品でした。2019/01/08
飯田健雄
21
あまり、社会学的にステレオタイプ化されていて、面白くなかった。 この小説に描かれているカップルは多いとおもうけれど。2016/06/12
klu
12
”夏を抱く人”は衝撃的な結末でした。46歳は8月に相当しで秋の気配が忍び寄ってくるそうですが、そのとうりかも・・・2017/01/10
いけ
12
山本文緒好きな私に、友人が貸してくれた本。色んな暮らしや生き方がある。一体、自分自身はどんな人に思われているのだろうか?と疑問に思った。2013/05/19
ふみふむ
11
中年の男女の揺れる心の描き方が上手い。友人がタヒチに旅立つ「夏を抱く人」、仕事に生きる女「幸せな人」、夫を疑う「光飲む人」がよかった。「安らぎと刺激と、おいしいところだけが欲しいなんて下品なのよ」との明子のつぶやきが名言。2015/10/25
-
- 和書
- 野菜売り場の歩き方