感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コウメ
50
超がつくほど胸糞が悪い内容。しかしそれが手塚治先生のすごいところ!天外家の男たちの欲望によって犠牲になった「奇子」ある男は名誉のため、土地のため、金のため、殺人を犯し、家族内で肉体関係を持ち、都合が悪くなれば殺し監禁し一言でいえばこの家庭は狂っている。唯一の希望は伺朗の存在。2020/04/04
アイシャ
32
A.B.C-Zの五関君の主演舞台ということで読んでみました。率直に手塚治虫さんがこういう作品を描いていたという驚き。戦後の混乱期の日本を背景に描かれる一族とその犠牲となる女性の話なのかな。話自体はすごく興味深いんだけど、女性の扱いが酷くてたびたび読むのが止まってしまう。ひどく封建的な一族を束ねるのが自己中心的な道徳観しか持たないものであれば一族全員の運命が狂う。実にすさまじい展開で舞台はこれをどういう風に切り取っていくのか。奇子の運命が気になる。2019/04/26
tkkr
21
女・子ども・障害を持つ人の人権がすごく軽んじられていた時代を垣間見た。今でこそファンタジーの世界と思えるけれど、これがそう遠くない昔のノンフィクションであると考えると3割増しで戦慄する。狡くて卑怯で利己的な登場人物たちに嫌悪感を感じた一方で嗜虐的な興味をもって読み進めた自分にも潜在的な素質はあるのだろう。このあと下巻でどのような救いが待っているんだろう。救いがあるといいな。目茶苦茶面白かったけれどもし自分の子どもに読ませるとしたらとりあえずR14くらいはつけておきたいかも。2017/05/24
みや
13
戦後占領下での農地改革、国鉄公社大量馘首、レッドパージ、朝鮮特需という激動の時代を背景にし、既得権益を死守するために愚行を重ねる大地主、天外家の人びとを描く。近親姦や座敷牢といったタブーを扱い、人間のグロテスクな側面を抉り出す問題作。こんなドギツいのも書いていたとは…。つくづく手塚先生の懐の深さに驚く。2022/09/19
ゆりまなっとう
13
おぞましい。子供には見せられません。女、子供、障害者などの弱者には容赦ない暴力。ひと昔前の日本はこんな感じだったのかな…?息子の嫁に手を出して子供まで作る。何も言えない息子、黙って従う息子の嫁、正常じゃない世界観。2015/08/30