出版社内容情報
永遠の命とはなにか。不死の〈火の鳥〉を軸に、人間の愛と生、死を、壮大なスケールで描く。天才手塚治虫が遺した不滅のライフワーク。各巻カラーイラストの表紙、巻頭に十六頁カラーを掲載。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
112
平安時代を舞台にした手塚治虫の代表作『火の鳥』。この巻ではSFの要素がなくなり、火の鳥は抽象的な存在として物語の中に組み込まれる。無垢なカップルの弁太とおぶうが、歴史の大きなうねりに巻き込まれて、離れ離れになってしまうのが悲しい。悪役と言える平清盛が時折見せる一人の人間としての寂しさや死への恐怖が、一際印象的だった。2015/06/19
can
40
乱世編が始まる前の猿と犬の話が、権力争いというテーマに沿っていて唸らせる。鳳凰編の我王が再登場し、続けて読んでいる読者は嬉しい!時代は平家が国を治める世。木こりの弁太は都で櫛を拾い、美しい恋人・おぶうにプレゼントするが、それがきっかけで二人は離れ離れになってしまう。おぶうを探し求め、都で奮闘する弁太。「牛若と弁慶」のオマージュが上手く絡み、また唸る。それにしても弁太は結構好きなキャラクターかも。見た目カッコよくはないけど、平和を愛し、おぶうを求める強い気持ちには感情移入しちゃいますね。混乱の中下巻へ。2016/08/11
おたま
38
序において、犬の白兵衛と猿の赤兵衛の話が、全体を象徴する話として置かれている。鳳凰編に登場した我王が、鞍馬山の天狗として登場している。本編は、平清盛の盛衰が中心のストーリーとなっているが、そこに山の民弁太とおぶうの物語、さらに源義経の生涯も重ねられている。権力者の妄執と絶えざる不安とを、清盛をその代表として描いている。また、義経が、決して悲劇の主人公としてではなく、やはり権力志向の、荒っぽい若者として描かれているのも面白い。いつの世も変わらぬ権力者像を手塚治虫は描こうとしていたのだろう。2020/09/01
スター
34
平家全盛の時代を描いた作品。権力の絶頂にありながら、一方で不安に苛まれる平清盛が痛々しい。2023/03/20
田中
26
4度目。NHK大河「清盛」のお陰で前回より理解できた。権力者こそ永遠の命を欲しがる=死を恐れる、という火の鳥のテーマ。2014/08/16