内容説明
ちょっとした出来事も前世から因縁による。噂だけの知り合い、手紙だけでやりとるする文通相手、飲み屋で常連客仲間。生涯にわたってライバル心を燃やす姉と妹。ごく当たり前の日常生活の中にある様々な人間の絆を鋭く描いた連作短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gonta19
128
新規購入ではなく、積読状態のもの。 2021/7/5〜7/8 おそらく20年以上前の積読本。昔、清水さんの作品はよく読んでいたが、その時に買ったまま置かれていた。 人間の心の機微を描くのが得意な作家さんなので、それが十二分に活かされた短編集。古臭い感じはせず、現在でも十分面白かった。2021/07/08
ううち
11
短編集。色々な人の本音をうまく読ませてくれます。(原文ママ)の手紙は笑った。いつも何気無く郷土愛をねじ込んでくる所が好き。2015/08/25
かしまさ
5
小さい頃父親と一緒に入った風呂で見たあの「でかいなぁ」という背中。いつの間にか小さく見えてしまうのかな。最後にいい話があってよかった。2016/01/16
ゆずぴ
5
この人の人間関係は隠してるものを暴かれるような生々しさがあるように思えてて、直視しないでいようと思うものを読んでるような気にさせられる。ちょっと隠してるのになあみたいな、いやいやそんなことないよって言ってるのにどうだって見せられるとああそうねえって目をそらす。それが面白いんだけどすわりが悪い。たいしたことのない話なのにいちいちがそうで、最終的にすみませんでしたって気分になるのに読む。不思議。2014/12/14
hiroshi0083
4
1993年から94年にかけて、小説誌『野性時代』に”人間の絆”シリーズとして書かれた10の短篇を集めた一冊である。他人同士の奇妙な縁から親子の関係まで、様々な人と人との関係が描かれている。 父と息子の関係を描いた「背中」が、最も「うわぁ~」と僕の心に迫った作品だ。かつての(今も存在する?)僕と父の関係が描かれているように感じたし、今の、そしてこれから生じるかもしれない僕自身と息子の関係が描かれていると思うからだ。(コメントに続く)2019/12/20