内容説明
変わっていく、私の記憶も、竜一郎という存在も、そして妹の死の意味も。そして心の力を一つ一つひらいていく弟のいとおしさ。陽も、水もなにもかもが、今日が一回しかなくていろんなことが惜しみなくあふれている。流れていく時間の残酷さと生きていく優しさを私は愛する。また、生きるための扉を開く、そこにある輝きに満ちた天気雨の慈雨、神が飲む水アムリタ。紫式部文学賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
136
上巻のみずみずしいステキな雰囲気そのままに下巻へ・・・と思ったましたが、う~ん、下巻あたりから中期以降のばななさんの‘スピリチュアル’な部分が見え隠れし始めるんですね~。初期の段階からその片鱗はあらわれ、その部分も重要な魅力ではありましたが、本作の下巻ではその部分がより露わになってきています。ばななさん本人は書いていて違和感がないのでしょうが、読んでる側としてはそういった部分があまりにも前面に押し出されてくると、少しツラく感じるかなと。それでも永遠に輝き続けるステキな作品であるコトに変わりはありません。2015/08/04
だまだまこ
59
再読。まさにアムリタ(神様が飲む水)のように、心の栄養のようなばななさんのことばに浸る。さらさら読めたけど、心が疲れてる時ならこのスピリチュアルな世界に引きずられ気味だったかもと思う。ふいに訪れる淋しさや、いまが幸せと感じられる瞬間。そういう感情の動きは理屈ではない、本当に個人的なものだと思うけど、それを「そういうことってあるよね」と共感できる形で物語になっているってすごい。そして、ひとの心ってなんて不思議なものだろうと感じる話だった。2019/01/18
はらぺこ
56
特殊な能力を持った人がポコポコ出てくるので変な話でしたが、作品自体の言いたい事は何と無く分かる気がした。 ここに出てくる特殊能力なら自分も欲しくないので由男の様になってしまうと思う。でも、透視能力やったら毎日が楽しくなるので欲しいなぁ。2012/04/06
佐島楓
31
ここに生きて存在している不思議を思う。世界が奇跡に満ちている幸せを思う。ただ、このようなスピリチュアルなことばかり考えていると辛くなってきはしまいか、と心配にもなる。この小説がばななさんの書く意味を示しているように感じられた。2014/08/09
はち
17
不思議な関係の家族、予知能力を持つ弟、妹の死、大きな出来事があったようななかったような...何が起ころうと日々生活は流れていく。生と死の境目が曖昧になってきたり、何が本当で嘘?なのか、そんなことどっちでもいいや!みたいな気持ちになった。宙に浮いているような心地よい感覚。何度も読み返したいと思った。今回は姉と弟の関わりに心奪われた。歳の離れた弟。子供扱いせず、個人として、相手の気持ちを知ろう、寄り添おうとする姉。一見冷めた関係に見えるが、本当の愛ってそんなものなのかなぁ〜!そして、今は一度しかないのだなぁ〜2020/01/11