内容説明
男らしさが何よりの自慢だった自分の肉体が、徐々に女になっていく!ボクシング世界王者の芹沢哲が衝撃の事実に気づいたのは、タイトル防衛戦の最中だった。その奇病のために哲はボクサーの栄光と、人間としての尊厳を奪われた。夫が女に変わるという衝撃の展開には妻も苦悩するが、医師の診断は無情にも治療不能!究極の孤独と恐怖の末に、元チャンピオンが選択した切なくも哀しい人生の結末が胸を打つ。
著者等紹介
吉村達也[ヨシムラタツヤ]
1952年生まれ。ニッポン放送、扶桑社を経て90年より専業作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ペトロトキシン
12
これがホラーなのかと問われてしまうと、背筋がゾクゾクする怖さは全くない。だけど自分の身に置き換えて考えると、精神的に辛くなる恐怖は感じる。『マタンゴ』を読んだときも思ったけど、あらすじ読むと馬鹿らしい気がするものでも、読んでみると案外よく考えられていて面白い。吉村作品は、そんなのが多いような気がします。2017/06/08
そのぼん
11
『男らしさ』が自慢だった男が女性化していくストーリー。 ホラーではない気がしましたが、作品としては考えさせられるものがあったので、成功していたと思います。2012/03/31
ヤスヒ
10
ボクシング世界王者の芹沢哲が主人公。哲は防衛回数を増やすにつれて段々と自分の体の異変に気付く。男らしさを自慢にしていた体が徐々に女らしくなっていくという異変。そしてとうとう9回目の防衛戦の最中に決定的な出来事が…という展開。この奇病が発した事により哲の生い立ち等が語られていくわけだが心の葛藤や哲を支える妻の苦悩が痛々しい。この本は事前に読了した方々の泣けるという感想を見ていたので気になっていた作品。あらすじを見てどこが泣けるんだろう?と思いながら読んだが最後のシーンで涙している自分がいた。 2011/12/09
あかつや
5
世界戦防衛8回を誇るボクサー芹沢哲は、因縁のある義弟を挑戦者に迎えた試合の直前に自らの肉体に違和感を覚えていた。鏡を見ると乳首が膨らんできているようで、力を入れてつまむと白い液体がピュッと噴き出す。肉体が女性化していく恐怖、パンチを受けた胸からほとばしる母乳。ここまで書くとほんとに馬鹿みたいな話のようで、これがなかなかの傑作だった。吉村達也の小説を読む時はあえてクソを掴みにいくつもりで読んでるから、多少評価が甘くなってるのかもしれないけど、最後ちょっとほろりときたよ。クソの山から出てきたキラリと光る逸品。2023/06/12
どん
5
設定が妙にリアルで面白かった。最後まで男らしい主人公に感動。 泣けた。2012/05/17
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